やくみつるのエキセントリック・ジャーニー
著:やくみつる
発行:地図情報センター
発売:帝国書院
発行日:2023/4/3
判型:A5縦判(210×148mm)
頁数:176p
製版・印刷:プロセス4C、特色1C(特青)、スミ+特色1C(特緑)、カバー、表紙はグロスニス
用紙:b7トラネクスト、エアラススーパーホワイト、オーロラコート、タント Y-8
製本:あじろ綴じ並製本
今回は、やくみつるさん著『やくみつるのエキセントリック・ジャーニー』をご紹介いたします。平成最初の年の初渡航以来、これまでに訪れた国は実に100ヶ国以上!!相撲、昆虫、野球、クイズ、珍品収集…多趣味で有名な漫画家やくみつるさんは、海外旅行の愛好家でもあります。 イラスト、エッセイ、現地で入手した貴重なブツ(お土産)、詳しい地図…盛り沢山の内容でお届けする、これまでにはない「エキセントリック」な旅行譚。「どこそれ?」な国も多数登場!地図帳と一緒に読みたくなる一冊です。
珍品収集で有名なやくみつるさんは、海外旅行先でも土産物をハンターのように買い漁ってきたそうです。自宅にあふれかえる、蒐集したグッズや民芸品、土産物などをどうにかしてあげなくては、という思いが本書執筆のきっかけだといいます。本書に収録している国やグッズは、ほんの一部で、その国を象徴するような、わかりやすい土産物を紹介しようと、かなり厳選して収録。ペルーで買ったマチュピチュの置物のような、その国ならではの典型的なものに魅かれるそうです。
一見、統一感がないように見える土産物ですが、やくさんによれば、各国でいろいろなものを買っているうちに、だんだんとジャンルとして系統立ってきたそうです。国旗をあしらったもの、民族衣装を身にまとったペアの人形、絵皿、ミニ額絵、民家や動物の置物など、どんどんジャンルが増えていって、今では細分化すると50ジャンルくらいに。そのジャンルは頭の中にあるので、それに該当するものはすぐに目に入ってくるし、ぱっと見つけ出すことができる。その一品がやくさんのことを呼んでいると感じるそうです。
また、多くの国を訪れたことにより、「食う力」が鍛えられ、小さいころから偏食だったやくさんも、今ではいろんなものを食べられるようになりました。本書に収録されている、ブラジルでの陸ガメピラフは衝撃的だったそうですが、とても美味しかったそうです。
幼いころから地理・地図好きで、地図帳はもちろん、どことも知れない小さい国や発展途上の地を紹介してくれる本をむさぼるように読んでいたやくさん。東京オリンピック、万博でもたくさんの国を知り、海外の切手収集の趣味もあいまって、その少年時代に座学で知った知識、情報を大人になって、実際に足を運んで確かめたいと思うようになりました。
しかし実際に行ってみると、想像していた通りなどという国は今まで一つもなく、ことごとく見事に裏切られ、行って初めて、こういう側面もあったのかと知ることになります。その裏切られに行くことの楽しさを味わうために、やくさんは海外に足を運び続けます。ツアー旅行で気軽に楽しめる訪れたことのない国が多数紹介されており、1コマ漫画や地図も楽しい旅行エッセイ。ぜひご一読ください。
カバー・表紙・扉:やくみつる+片岡忠彦(ニジソラ)
本文デザイン:金子裕
本文撮影:若林直樹(STUDIO 海童)
編集協力:帝国書院