ERIC写真集 東京超深度掘削坑 TOKYO SUPERDEEP BOREHOLE
著:ERIC
発行:禅フォトギャラリー
発行日:2022/10/22
判型:B5縦変型判(200×200mm)
頁数:120p
製版・印刷:プロセス4C、表紙はAスクラッチ(グロスPP)加工
用紙:b7トラネクスト、OKトップコート+、タント N-65
製本:糸かがり上製本
今回ご紹介するのは、写真家・ERIC氏の写真集『東京超深掘削坑 TOKYO SUPERDEEP BOREHOLE』です。
カメラは物事の表面だけを掬い取る。しかし、撮影者の写し方によって、その写し撮られた表面はその下にあるものを隠す壁にもなれば、逆にそれへのゲートにもなる。そのゲートをくぐって人はどこまでも沈降してゆける。
人や人が作り出した光景という表面は、時代によって移り変わってゆく共同幻想がその時々に顕現したもの、過去のそれらは一番上の地表の下に地層となって遥か地下へと沈んでいっている。地表の物事からはいわば「根」が伸びて、その地層を貫いて深く深くどこまでも続いている。
僕は今回の写真で日本人の「根」を垣間見たように感じている。どこまではっきりと、またどこまで深く、それを捉えたかはわからない。
本来、答えというものは簡単には得られない。そのことだけは確かだ。(ー写真集あとがきより)
写真家のERIC氏は、1976年香港生まれ。1997年に来日し、西村カメラで写真を学びます。。2001年に東京ビジュアルアーツ卒業。同年「蓄積と未来」でコニカフォトプレミオ大賞受賞後、2002年「一日と永遠」で第19回写真ひとつぼ展グランプリ、2004年「every where」で第2回ビジュアルアーツフォトアワード大賞、2009年「中国好運|GOOD LUCK CHINA」で第9回さがみはら写真新人奨励賞など受賞多数。
主な写真集に『中国好運』(2008年 赤々舎)、『Look at this people』(2011年 赤々舎)、『EYE OF THE VORTEX』(2014年 赤々舎)があります。
成人してから来日したERIC氏は、日本では「外人」由来の疎外感や孤独感を感じたことも多々あったそうですが、日本に生まれ育ったのではない「外人=アウトサイダー」であるからこそ、日本特有の共同幻想から逃れて自由でいることができたと語ります。
本書は、2020年から始まったコロナ禍の東京で生きる人の、物語の断片を集めた写真集となっています。タイトルが示すように、いまここに生きる人の本質を、ひかりを、見つけるために、解放と閉塞が交差する街「東京」に深い穴を掘り、深い穴の底から東京を歩き直す体験を、私たちもともにできるでしょう。
この写真集に関するお問合せは、禅フォトギャラリーまで。東京の今を生きる人々をいきいきととらえた写真集です。ぜひご覧ください。
担当プリンティングディレクターより
高橋 満弘
撮影時のフラッシュの感じを全体を通して残しつつ明部の階調を出し、コントラストは強めに製版しています。特にライトが強く当たっている部分は、白く飛ばしすぎず、明白色もしわなどのディテールがわかるようにいたしました。
アートディレクション:柿沼充弘[Raven & Persimmon Studio]
プロジェクトマネジメント・翻訳:マ ボンワイ ボニー
校正:マーク ピアソン、野村ニナ
東京超深度掘削坑|BOLD
解放と閉塞が交差する街「東京」に、深い穴を掘るいまここに生きる人の本質を、ひかりを、見つけるために 中国、インド、香港など、さまざまな国の人々の本質を、写真という媒体を通して語ってきたアーティスト・ERICが撮る「東京」。2020年から始まった変化の中で生きる人の、物語の断片を集めた写真集。ここには、深い穴の底から東京を歩き直す体験がある。