たんぽぽのふね

著:まるやまあやこ

発行:世界文化社
発行日:2023/3/15

判型:A4縦判(297×210mm)
頁数:32p
製版・印刷:プロセス4C、プロセスイエロー+特色1C(特橙)、プロセス3C(シアン+マゼンタ+イエロー)、プロセスイエロー、カバー、表紙はマットPP加工
用紙:HSスノーフォース、アラベールスノーホワイト、ミューコートネオス
製本:糸かがり上製本

今回ご紹介するのは、まるやまあやこさんの絵本『たんぽぽのふね』です。

「たんぽぽの わたげは どこに とんで いくのかな。みにいきたいな」
たんぽぽの上に住む、小さな女の子ぽぽんと小さな犬のぽんた。
ある日ぽぽんは、たんぽぽの綿毛がどこへ飛んでいくか知りたくなり、たんぽぽの綿毛で空を飛べる船を作ります ……。

たんぽぽの上に住む、小さな女の子ぽぽんとちいさな犬のぽんたの、たんぽぽの綿毛にみちびかれた心あたたまるファンタジー。光につつまれた美しく幻想的な絵で、物語の世界に魅了されます。

まるやまあやこさんは長野県生まれ。絵本作家。多摩美術大学卒業。『たんぽぽのふね』(新風舎)で絵本デビュー。おもな作品に『まよなかのトイレ』『ひとりでおとまり』(ともに福音館書店)、『ゆきのひのいえで』(学研プラス)など。絵を担当した作品に『わたしのくつ』(柴田愛子・文/ポプラ社)、『おかしのくにのバレリーナ』(犬飼由美恵・文/教育画劇)、『ことりのデパート』(苅田澄子・文/世界文化社)などがあります。

まるやまさんが生まれ育った長野県安曇野には、御船祭りという、船の形をした大きな山車に縄を付け、大勢で力を合わせて町中を曳いていくお祭りがあるそうです。大学のとき、たんぽぽの綿毛でできた船が空を飛んでいくイメージして、たんぽぽの綿毛を使った立体作品を作り、この絵本は安曇野の記憶と大学時代の制作からイメージを膨らませて生まれました。

まるやまさんは、ふわふわのたんぽぽの綿毛をじっと見つめていると、何かにそっと守られているような優しい気持ちになれる、とおっしゃっています。まさにこの絵本を眺めていると、夢をかなえようと頑張る小さな女の子とぽんたたちの姿を応援したくなり、優しい気持ちが芽生えてきます。大人から子どもまで、夢がふくらみ、心に響く一冊です。ぜひご覧ください。

また、発売を記念して、まるやまあやこ『たんぽぽのふね』絵本原画展が、2023年4月10日(月)まで長野県安曇野市の絵本美術館 森のおうちで開催されています。6月7日(水)~18日(日)の期間中は、東京都新宿区下落合の、貝の小鳥にて同原画展が開催予定ですので、ぜひお運びください。

担当プリンティングディレクターより

細野 仁

板のキャンパスに描かれた原画を入稿して頂きましたので、当社で一眼レフカメラで原画を撮影し、画像化しました。

HSスノーフォースはラフ紙でとても風合いのある用紙ですが、印刷適正としては濁りが比較的出やすい為、最明部のハイライトは極力明るく設定しました。薄い調子の部分の階調を出すため、部分的に調子を残すような修整を施しています。また、女の子の肌の濁りをはらい、純色の鮮やかさを強調することをポイントに画像を作成しています。

製版上は濁りを払う方向で画像調整をしているため、印刷された時に弱い印象に仕上がることのないよう、印刷時にはしっかりインクを紙に乗せて強く鮮やかな印象に仕上げました。

装丁:大竹美由紀
校正:株式会社円水社
製本:株式会社大観社

絵本美術館 森のおうち 企画展示

動物たちの自然な姿を残しながら、抱きしめたくなるような可愛らしさを引き出している、しもかわらゆみさんの3冊の絵本の原画全点と、絵本を創る過程のダミー本やラフなど資料を展示致します。 しもかわらさんの絵本には、見る人を笑顔にして心をほぐす力があります。 家族や大切な人を思いながら、抱きしめたくなるやさしさがこみ上げてくる作品を、作家の息づかいを感じられる原画で、ぜひ、ご覧下さい。 …