吉村和敏写真集 「STONE 庵治石と生きる匠たち」

写真・文:吉村和敏

編集協力:江口絵理
ブックデザイン:椎名麻美

発行日:2021/10/10
発行:フォトセレクトブックス
発売:丸善出版株式会社
判型:A4横判(210×297mm)
頁数:136頁
用紙:ニューVマット、b7トラネクスト、A2コート
製版・印刷:本文は3C(特殊紙用コンク墨+特グレー+超被膜GWニス)、カバー、帯は3C(特殊紙用コンク墨+特2C(特グレー、特緑))にグロスPP加工、表紙は特1C(特緑)に全面グロスニス
製本:糸かがり上製本

フォトセレクトブックス様刊行、吉村和敏さんの写真集「STONE 庵治石と生きる匠たち」の印刷、製本をお手伝いさせていただきました。

世界に誇る銘石「庵治石」は、香川県高松市の北東部、讃岐の霊峰といわれている五剣山の山麓から産出されています。牟礼町・庵治町で暮らす石工たちは、受け継がれてきた伝統技術、長年の経験から身につけた独自の加工技術を駆使して、墓石や灯籠、彫刻などの作品を生み出し続けています。

24人の石工たちに焦点を当てながら、庵治石の歴史や文化を伝えていくドキュメンタリー写真集。

写真家の吉村和敏さんは、東京の印刷会社退社後、1年間のカナダ暮らしをきっかけに写真家としてデビュー。東京を拠点に世界各国、国内各地を巡る旅を続けながら、自ら決めたテーマを長い年月にわたって丹念に取材し、作品集として発表し続けています。

本作「STONE」でも、2019年から3年間、牟礼町・庵治町を訪れ、庵治石の世界をさまざまな角度から追いかけたそうです。その過程ではっきりしたことは、石工たち職人たちは、誰にとっても「憧れ」の存在であること。

彼らの生み出す墓石、仏像、灯籠はまさに神業と呼べるもので、20年、30年と継続することで身につけた「技」があるからこそ、人に深い感動を与えることができるのだろう、と仰っています。

庵治石特有の表面のディテール、石の固いエッジ部分と彫刻の柔らかい曲線、職人たちの顔の「凄味」を際立たせるように、コンク墨とグレーを盛り、濃厚に印刷いたしました。吉村さんと弊社プリンティングディレクター高柳が、この写真集について対談した模様をYouTubeにアップしておりますので、ぜひご覧ください。

吉村さんは石工たち一人一人から伝わってくる「凄味」を一枚の写真で伝えてみたかったとのこと。この写真集をご覧いただければ、職人の方々の顔から、長い時間と忍耐力が必要な石工の仕事の厳しさ、「凄味」をお感じいただけるでしょう。

庵治石の世界を伝える貴重な記録でもあり、吉村さんが願われているように、この紙の写真集が、石工たちが生み出す石の作品とともに永遠に残り続けてほしいものです。