島ゆめ
著:沖島宙李(おきしま そらり)
絵:滝町昌寛
編集:薮下佳代
デザイン:漆原悠一、松本千紘(tento)
発行:那和真太郎
発行日:2023/5/1
判型:B6縦変型判(188×128mm)
頁数:312p
製版・印刷:スミ、プロセス4C、特色1C(特銀)ダブル、表紙はグロスニス
用紙:HSハミング、OKミューズガリバーエクストラ ホワイトS、OKブリザード
製本:あじろ綴じ並製本
今回は沖島宙李氏著『島ゆめ』をご紹介いたします。伊豆大島、新島、三宅島、青ヶ島など東京の11島を舞台にした、11編の短編小説が収録されています。
なんて豊かな風なのだろう。
海風は、湿気を含んだまま山の斜面を駆け昇り、常に密林を雲霧で覆っている。この島ではその恩恵を存分に受け、希少な生命が脈々と進化を遂げてきた。山風は、鬱蒼とした密林の気と生物の吐息を包有して、海へそよぎ降りてくる。それはとてもなめらかで、甘くて、ほんの少しだけ密度が濃い。長旅に疲れた旅人を酔わせ、最南の島の土を踏む緊張感を吹き流し、すっかりと安心させてしまうのだ。
—— 母風(おもかぜ)—母島 1959 より
沖島氏は、広告会社や観光団体で、博覧会や地域ブランディングに携わってきた昭和ノスタルジックなイベント職人です。本書に収録されている11編の物語は、児童文学、SF、昔話、ファンタジーとさまざまなテイストの短編ですがノスタルジーにあふれ、また東京の島々の豊かな自然の描写が素晴らしいです。まだ目にしたことのない美しい海、森、山、空に読者の想像が膨らみ、この物語たちの舞台となる島々へ訪れてみたくなることでしょう。
「そこでしか見えないもの、体験できないこと、出会えないひとは、私の宝です。」と沖島氏は語っています。本書をお読みいただくと、東京諸島ではそのような宝物のような体験、出会いが待ち受けていて、訪れる者を素敵な「島ゆめ」へと導いてくれるような期待感が高まります。
滝町昌寛氏による色鮮やかで美しいイラストも、沖島氏の夢の世界観を際立たせるものとなっています。巻末には、東京の島々を訪れるためのアクセスマップも紹介されていますので、ぜひ「島ゆめ」の世界を訪れてみてください!本書につきまして、ご購読希望の方は、東京印書館営業管理課048-486-3803までお問い合わせください