山口勝弘と北代省三展 イカロスの夢 リーフレット

発行:世田谷美術館
発行日:2023/4

判型:A5縦判(210×148mm)
製版・印刷:プロセス4C
用紙:ユーライト
製本:中綴じ製本

世田谷美術館 2階展示室にて開催中の展覧会「ミュージアム コレクション Ⅰ 山口勝弘と北代省三展 イカロスの夢」のリーフレット製作のお手伝いをさせていただきました。

第二次世界大戦後の日本において前衛芸術の出発点に位置する〈実験工房〉。短い期間ではありましたが、若い美術家や音楽家たちが集まり、協働で舞台を手掛け、発表会を行い、芸術の総合を目指しました。ここに参加し、1970年代以降はメディアアートの先駆者として活躍した山口勝弘(1928-2018)は、2001年に病に倒れたあとも、制作を続けます。身体の動きが不自由ななか、宇宙空間や飛行について思索を巡らせ、絵筆を繰り返されるカラフルな画面に向き合うと、身体に伝わる振動を感じつつ絵画が生み出されたことがわかります。

また、同じく〈実験工房〉で活動し、写真の仕事も多く遺している北代省三(1921-2001)は、1970年代以降、模型飛行機や凧の制作を行いました。特に凧は、和洋問わずにさまざまな形体を試みています。その造形的な美を求めるばかりではなく、エンジニアのように風の速度や圧力を計算しつつ精度を高めていく姿は、遊びでありつつ遊びの先に何かの真理を掴もうとしているかのようです。

本冊子では、山口勝弘の飛行機を愛する飛行少年でもあり実験少年でもあった少年期の思い出、モダンボーイだった父や当時住んでいた東郷青児設計の洋館の記憶など、世の中が戦争に進んでいく中での一瞬のきらめきの日々について語った「記憶の中の本たち 第一回 飛行少年の見た夢」、北代省三が凧に魅せられたきっかけをつくった幼少期の記憶、そして幼少期に鮮明に焼き付けられた当時の印象が『空に浮かぶもの』の上に置かれる色彩の”好み”に影響を与えたと語る「天邪鬼模型談義 絵空事 気球・凧・より流体力学的な凧(抜粋)」が再録されています。

この展覧会では、山口勝弘の晩年の絵画作品と北代省三の凧を中心とし、福島秀子や駒井哲郎、大辻清司ら〈実験工房〉のメンバーの制作活動の一端が紹介されています。2023年7月23日(日)まで、世田谷美術館 2階展示室にて開催中です。こちらのリーフレットも配布中ですので、ぜひお運びください。

編集:野田尚稔、樋口茉呂奈
装幀:田辺智子(田辺智子デザイン室)
撮影:上野則宏(上野写真事務所)

山口勝弘と北代省三展 | 世田谷美術館 SETAGAYA ART MUSEUM

第二次世界大戦後の日本において前衛芸術の出発点に位置する〈実験工房〉。短い期間ではありましたが、若い美術家や音楽家たちが集まり、協働で舞台を手掛け、発表会を行い、芸術の総合を目指しました。ここに参加し、1970年代以降はメディアアートの先駆者として活躍した山口勝弘(1928-2018)は、2001年に病に倒れたあとも、制作を続けます。身体の動きが不自由ななか、宇宙空間や飛行について思索を巡ら…