選挙学入門 選挙プランナーが明かす逆算の思考
著:野澤髙一
発行:平凡社
発行日:2023/8/2
ブックデザイン:奥定泰之
イラスト:越井 隆
DTP:矢部竜二
編集:安井梨恵子
判型:46判(188×128mm)
頁数:224p
製版・印刷:本文 プロセススミ、カバー DIC F35(特青)+スミ+TOKA FLASH VIVADX200(特ピンク)+グロスニス、帯 プロセス4C+グロスPP、表紙 LR輝きシルバー(特銀)、扉 DIC F24(特茶)
用紙:OKカイゼル 雪、オーロラコート、レザック16 るり、タント R-5、オペラクリアマックス
製本:あじろ綴じ 上製本
どうも、東京印書館の大関です!
皆さんは選挙の投票へは行きますか?
今回は平凡社の「選挙学入門 選挙プランナーが明かす逆算の思考」の紹介です。
カバーには選挙運動している様子や投票のイラストが描かれており、明るいターコイズブルーと鮮やかな蛍光ピンクの特色が使用されております。
見返しにも淡いピンクの用紙が使用されていて、なんだかとても可愛いデザインですね。
著者は野澤髙一氏。
日本政治学会会員、日本選挙学会会員、公益財団法人日本世論調査協会個人会員で、株式会社アノン代表取締役であられます。
仙台市の生まれであり、学生時代より宮城県選出の国会議員の地元事務所に出入りし選挙を経験。
その後、広告代理店勤務などを経てテレマーケティング会社営業調査部門執行役員からスピンアウトし、2010年8月にリサーチ&コンサルティング会社アノン設立。選挙プランナーとして多くの候補者を指南し当選させています。
本書は選挙学入門とある通り、選挙の最初から終わりまでをイラスト付きでわかりやすく説明しており、選挙プランナーとしての視点で選挙術等も紹介しております。
それを読者に問うことで選挙について興味を持って考えてほしい、という内容になっています。
本書を書くにあたり、氏の根底にあるものとして「投票率を高くしたい」「公共の政治を実現したい」という思いがあるとも語っております。
第1章「選挙のすすめ」では、選挙と投票、そして政治について書かれておりアメリカの選挙についても触れています。
そして大袈裟に言えば、有権者の半数が投票しないというのは日本の民主主義の危機とも言えないだろうか。
どうすれば選挙にかかわってくれる人を増やせるのだろうか。どうすれば投票する人を増やせるのだろうかと考える、とあります。
第2章「選挙運動のすすめ」では、選挙プランナーとは何かからはじまり、その役割、さらに勝利の法則として野澤流逆算の公式が説明されています。
投票してもらう、ではなく、投票所に来てもらうためには、というような逆算の思考の考え方が重要である、とのことです。
第3章「マーケティングのすすめ」では、選挙に勝つには住んでいる人のことをよく知らなければならないとし、住んでいる人のことを知らなければ良い政治はできないと語っています。
そのためのマーケティングについていろいろな事例を挙げながら詳しく説明がなされています。
目標を達成するには、施策を企画し、企画を作戦にする必要がある、とあります。
第4章「後援会のすすめ」では、その基盤となる「相互扶助」の思想を説いております。
この章は、個人的に大変興味深かったです。
例えば結(ユイ)と合力(コウリャク)を参考にしているとあり、これは、世界遺産・五箇山がある富山県南砺(なんと)市に行ったときに教えていただいたとのことで、「結」とは田植えや屋根ふきなどを助け合っておこなう「相互扶助」を意味する言葉で、労働交換という意味です。
また、「合力」とは他人が何かをするのに力を貸して、援助・協力することを意味し、「助け合い」の意味です。
結も合力もお互いさまの上にあるのだ、と。
それ以外にも、朋輩組を挙げており、これは徳島県海陽町にある相互扶助組織のことであり、朋輩組では人に「助けを求めよ」ではなく、人が「助けを求めやすい」環境をつくることに腐心してきたとのことです。
実はこの町は自殺者の少ない町として広く紹介されたことがあるそうです。
氏曰く、後援組織づくりとは、コミュニティづくりである、とのことです。
最終章「これからの選挙」では、現在の政治の問題から選挙システムの改善点や課題、ネット選挙についても語られており、今後、政治家と有権者の関係は推すと推される関係性になっていくだろうとも。
最終章から以下を抜粋いたします。
選挙は自分たちにチャンスを与え続けてくれる場なのだ。
私たちは、一票で、政治家を選び直すことができる。
私は支持率を衆知の結晶と言っている。
選挙で明日がつくられる。
すべての有権者が同じように一票を持っているし、一票しか持っていない。誰かが偉くて、誰かが偉くないわけではない。
あなたの一票で明日はつくられる。
あなたの行動で明日はつくられる。
今日は、明日を変えるためにある。明日は、かならず明るい。
という言葉で締めくくられておりました。
夏に埼玉県知事選挙がありましたが、投票率は23.76%で全国のこれまでの知事選挙で過去最低だったようです。
それでも多くの読者のおかげで嬉しいことに重版です!!
さあ、そこのあなたも。
この本を読んで、あなたの一票と行動で明日を変えようではありませんか!
(文・営業部 大関)
選挙学入門 – 平凡社
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