今回は、ハイエンド印刷物向けを含む「ポジ(透過)」「ネガ(透過)」「反射原稿」を中判デジタルカメラで撮影、データ化するサービス「SCANPRO+」をご紹介します。
どのようにポジ/ネガフィルムやプリントなどの反射原稿をデータ化しているのか、サービスの公式サイトでは書ききれない部分を詳しく解説していきたいと思います。
従来、ポジフィルムのデータ化はドラムスキャナやフラットベッドスキャナ等の製版スキャナで行っていました。しかし、デジタルカメラの普及によりフィルム自体が減少していくにつれ、データ化需要も減少し、製版スキャナも役目を終えていきました。
ご存じのように、現在は多くの印刷物がデジタル画像で入稿した材料を元に製作されていますが、「撮り溜めたポジから写真集を作りたい」というご依頼もまだまだありますし、敢えてフィルムカメラで撮影している方もおられます。
また、ポジは物理的なフィルムであるので経年劣化が避けられません。「撮り溜めたポジを劣化する前にデータ化して保存したい」といったご依頼もあります。そこで弊社では中判デジタルカメラを用いて、ポジをデータ化する「SCANPRO+」サービスを展開しています。
各種原稿をカメラで撮影する利点としては、従来の製版スキャナでは拾いきれない色域の諧調を拾う事ができたり、入力画像に対しての調整幅が従来の製版スキャナよりも大きいので(特にネガ)、表現の幅が大きく取れる事、撮影倍率もカメラの撮像素子次第で大きくできる、といった事でしょうか。
実際の手順としてはざっくりと「撮影」>「現像」>「追い込み」といった流れになります。以下、順を追ってご紹介いたします。
撮影工程
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データ化の方法は、まずこのような撮影台にカメラをセッティングし・・・
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透過原稿(画像の原稿は4×5サイズ)をこのようなホルダーに入れて・・(撮影面が平滑になり画質が上がります)
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高演色性の光源の上に透過原稿を置くと、キレイに発色するので、これを撮影、データ化します(撮影は原稿以外は真っ暗な状態で行いますが、この写真では機材が見えるように大幅に明るく補正しています)
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反射原稿の場合は光源ムラが出ないようにライティングを整えて撮影、データ化します
現像 & 追い込み工程
撮影後にRAWデータの現像を行いますが、各種パラメータの設定次第で画質が変わってきます。現像後にPSDデータとして書き出したデータをPhotoshop上でさらに色調調整を行い画質を追い込んでいきます。(ネガの場合はLightroomでの現像工程が追加されます)撮影機材の良し悪しも重要ですが、この現像工程やPhotoshopでの画質追い込みの工程次第で、仕上がりに差が出てきます。ポジをデータ化して納品の場合はここでフィニッシュとなります。
オフセット印刷用途の場合は、ここからさらにRGB画像をカラーモード変換してCMYK画像を作成しますが、このRGB→CMYK変換は単にカラーモードを変換するのではなく、CMYK色域外の色をどう納めるか、印刷する用紙の特性や使用するインキ、ドットゲインカーブ等を考慮して変換する事で、「印刷に適した画像」を作成します。
写真集・画集等、高い画質や繊細な表現が求められる場合は、これに加えてさらに、著者の意向やイメージの表現等を反映させた画像を作り込んでいく事になります。
撮影機材
弊社では、以下の設備で各種原稿のデータ化を行っています
撮影台 | Negative Supply PRO RISER MK3(透過原稿用) SFC Camera Stand MD1500(反射原稿用) |
光源 | Negative Supply 4X5 LIGHT SOURCE PRO(TLCI99、CRI99.2) Apture APLS600dST |
カメラ | FUJIFILM GFX100S |
レンズ | FUJI GF120mm F4 R LM OIS WR Macro(35mm換算 95mm) FUJI GF32-64mm F4 R LM WR(35mm換算 25-51mm) |
ソフトウェア | Caputure One、Lightroom、Photoshop |
機材について
カメラ撮影によるデータ化作業は一般的なカメラやレンズでも行う事が可能ですが、「高品質・高解像度なデータ化」を目指す場合は、高演色性の光源、高画質なレンズ、大きな撮像素子、撮影環境・・と諸々の準備が必要になってきます。当社では高演色性光源を使用し、中判デジタルカメラと純正レンズを用いて透過原稿をデータ化しています。
撮影環境について
撮影時には、レンズに余計な光が入らないように、撮影環境を暗くし、原稿とカメラを水平に保てるように、安定した撮影台で撮影を行います。さらに、当社の撮影ルームは遮光率が99.99%以上の1級遮光カーテンで囲われており、余計な光が入らない環境になっています。また、様々な原稿種類に応じた透過原稿用ホルダーを完備。原稿をしっかりホールドすることで、撮影面を平滑にして撮影するので画質が向上します。
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透過原稿用 120 & 35mm 用フィルムキャリア(単独の原稿やリール原稿にも対応)
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透過原稿用 フィルムホルダーとフード各種(ホルダーで挟み込むことで、撮影面の平滑性が上がり画質が良くなります。)
対応可能原稿
透過原稿はポジ or ネガ。35mm、120、4×5。単独でもリールでもOKです。
上記サイズ以外のデータ化については別途ご相談下さい。
(カートリッジに入ったAPSフィルムはお取扱いできませんのでご注意ください)
反射原稿の場合は横800×縦550mmまで対応可能です。
それ以上の大きさについては別途ご相談下さい。
※1ショットでの透過原稿種類毎の最大トリミングサイズ(絵柄面サイズ)の目安
(16bitTIFF,GF120mm F4 R LM OIS WR Macro使用時)
・35mm(約1600万画素) 225×320mm(350dpi) 約305MB
・120(6×6) (約5700万画素)530×530mm(350dpi) 約305MB
・4×5 (約9200万画素)600×750mm(350dpi) 約489MB
お問い合わせ・ご相談
当社では写真集や美術印刷により培われた技術により、ポジ/ネガフィルムをはじめ、写真プリントや原画などの高画質データ化を承っております。ご相談、お見積りは下記「SCANPRO+」のサービスサイトよりお気軽にお問い合わせください。
Scanpro+お問い合わせ
フィルム資産をデータ化しませんか?高品質写真集印刷で培われた技術による、撮影、現像、色調補正により、色カブリ補正や露出、シャープネス等を調整し、最適なライトとシャドウのバランスを実現したデータをご提供します。