さくららら

文:升井純子
写真:小寺卓矢

発行:アリス館
発行日:2021/3/25

デザイン:椎名麻美
編集:山口郁子
製本:難波製本

判型:A4縦変型判(280×220mm)
頁数:40p
製版・印刷:プロセス4C、特色2C(特スミ+特ピンク)
用紙:OKトップコートマットN、OKトップコート+、パミス 純白
製本:糸かがり上製本

今回は、文・升井純子さん、写真・小寺卓矢さんによる写真絵本『さくららら』をご紹介いたします。

北国にある桜の木は、今年もつぼみをつけ、ふくらませ、じっくり開花の準備をする。
自分の咲く日は自分で決める、さくらちゃん。それをまわりが温かく見守ります。

-アリス館ホームページより

日本で最も遅い5月下旬に咲く、北海道北部のチシマザクラを追った写真絵本です。写真家の小寺さんは、実に7年もの歳月をかけて、「人の思い通りにならないからこそ自然は素敵なのかも―」という境地に至り、青空一杯に咲く”さくらちゃん”を撮影しました。

升井さんは、「一本一本、咲きたい時が咲き時でしょうに。」「水や養分を得て、光を浴びて、『さぁて、いくか』と踏み出すのは本人です。その心意気を静かに見守りたい―。」そんな思いを込めて、テキストをお書きになったそうです。

雪の降り積もる厳しい北海道の自然の中でも、蕾をつけて、遅くとも美しい花を咲かせる桜の生命力に圧倒されます。”さくらちゃん”の一人称のつぶやきのようなテキストは、マイペースでも自分らしくていいんだよ、という自己肯定感にあふれたメッセージとなっています。

「わたしがさく日は、わたしがきめる」というなんともカッコいい”さくらちゃん”に、背中を押してもらえる素敵な写真絵本です。お子さんから大人の方まで、きっとポジティブな気持ちになれると思いますので、ぜひご覧ください。

担当プリンティングディレクターより

髙栁 昇

入校会議でお話を伺った際、写真家小寺様はこのさくらを慈しむように見守り、ワンカットワンカットに愛情込めて撮影しているのを強く感じました。一面の雪景色の4月から始まり5月末の開花、満開までの写真で構成されてされています。私自身もワンカットワンカットの写真のポイントをお聞きして製版致しました。

4月の雪景色から5月末の開花、満開と季節の進行(温度感の差)を製版で再現しようとしています。4月は寒い印象で徐々に温かい雰囲気になるよう製版させていただきました。

印刷は製版設計を忠実に再現する事をポイントにして、印刷で暗いイメージにならない様に印刷時のグレーバランスとインキの盛り過ぎに注意しています。

「わたしがさく日は私が決める」日本で一番遅咲きの桜「千島桜」の開花〜写真絵本「さくららら」

毎年、日本で最後に咲くといわれている北国の桜「千島桜」。今回は開花するまでの千島桜とそれを見守る暖かい自然と生命を収めた写真絵本「さくららら」を少し駆け足でご紹介します! 升井純子/文  小寺卓矢/写真 発行:アリス館 印刷:東京印書館 ■「さくららら」アリス館ホームページ http://www.alicekan.com/books/post_231.html ■東京印書館 …