小松健一写真集 琉球 OKINAWA
著者:小松健一
発行:本の泉社
発行日:2022/5/15
判型:B5縦変型判(257×187mm)
頁数:248p
製版・印刷:プロセス4C、特色2C(コンクスミ+特グレー)+グロスニス、プロセスCMY、特色各1C(特青、銀)、スミ、カバーはマットPP加工
用紙:ニューVマット、五感紙 粗目 黒/るり、TSギフト-7 インクブルー、A2コート
製本:糸かがり上製本
今回は、写真家・小松健一さんの写真集『琉球 OKINAWA』をご紹介いたします。
本土復帰50年。写真家・小松健一さんは沖縄の美しい風土、民俗文化、戦争の傷痕、そして基地の中の暮らしを40年間にわたり見つめ続けてきました。その記録の集大成ともいえる写真集が、50年の節目に刊行されました。
この写真集は「琉球の自然・文化・暮らし」「基地の中のOKINAWA」の2章で構成されており、前者はオールカラー、後者はオールモノクロとなっています。
1章「琉球の自然・文化・暮らし」は、沖縄の美しい自然、独自の民俗文化、市場に並ぶ豊かな食材やうちなんちゅーや観光客のはじけるような笑顔…と我々が観光で訪れたり、現在放送中の朝ドラ「ちむどんどん」に登場するような、明るくて楽し気な写真が続きます。
しかし2章「基地の中のOKINAWA」では、一転して、沖縄の外に暮らす我々が普段目にすることのない「沖縄のダークサイド」を表す写真が並んでいます。
それは太平洋戦争の傷痕を残す戦場跡や、米軍の戦闘機や戦車、米兵たち、基地反対運動に参加する市民の姿など、同じ日本国内のことでありながら、どこか傍観者のようになってしまっている我々の胸にも迫るものとなっています。
今回印刷にあたり、40年という長期にわたって撮影された撮影状況や機材などが異なる写真の統一感を出し、カラー写真は全体的にナチュラルで明るい印象にしています。一方、モノクロ写真についても同じく統一感は出しつつ、濃いスミとグレーのダブルトーンで、シャープで重厚感漂う印象にしています。
小松さんは「あとがき」で次のように語っています。「ヤマトの一人のフリー写真家ができることなどたかがしれている。それでも僕は僕なりに琉球、そして沖縄から眼をそらさず見続けてきた。その一つのささやかな記録が本書である。」
この写真集が、多くの皆様に沖縄の過去を見つめ未来を一緒に考えていくきっかけになればと願います。