日本は写真集の国である 金子隆一 著 築地仁 監修
発行:梓出版社
定価:2,300円+税
判型:四六判 188mm x 128mm
頁数:220頁
製本:あじろ綴じ
用紙:カバー/A2マットコート 表紙/Y2用紙 扉/NTラシャグレー05
本文1/b7トラネクスト(カラー写真面)本文2/OKアドニスラフ80
見返し/里紙 梅
梓出版社様より刊行された書籍「日本は写真集の国である」の印刷をお手伝いさせて頂きました。60年代から70年代にかけて刊行された写真集をはじめ、海外でも根強い支持を得ている日本の「写真集」。その独自の成り立ちと発展のかたちについて、様々な角度から新しい理解と気づきを与えてくれる一冊です。
このエッセイ集には”「もの」としての写真集”という項目があります。ものとして、あるいは印刷物としての魅力や可能性について考えを巡らせてみることで、写真集を手にとって読むという体験にも新たな楽しみ、深みが加わるのではないでしょうか。
往年のグラビア印刷によるモノクロ写真集の黒さは印画紙を凌駕する迫力だったというお話も後半で読むことができます。印刷会社としては、現在の写真集印刷の主流であるオフセット印刷の手法でいかにグラビア印刷の表現力に迫ることができるかという課題に改めて向き合わされるばかりです。
翻って、この本の「ものとしての魅力」についても用紙という視点から少しだけ触れてみたいと思います。17点の写真集が紹介されている口絵のカラーページは微塗工紙の「b7トラネクスト」、文字ページには中質紙の「OKアドニスラフ80」が採用されています。
b7トラネクスト(微塗工紙)はしっとりと落ち着いた雰囲気としなやかな手触りをたたえながらも、高い白色度と色再現性を備えており、最近では写真集に使われることが非常に多い用紙です。対してOKアドニスラフ80は微塗工紙にはないラフな手触り感に加え、高めの白色度と文字の読みやすさを兼ね備えているのが特徴です。
いずれも一般に嵩高紙(かさだかし)と分類される紙ですが、本自体に厚み=「もの」としての存在感を出せるという利点があります。紙について調べてみることで、本を手にとって読むというありふれた体験に新しい面白さが見出せるかもしれません…
「日本は写真集の国である」ぜひ、ご一読下さい!