広瀬飛一写真集 人間・仲代達矢
写真:広瀬飛一
発行:無名塾
発行日:2002/4/2
判型:A4縦変型判(245×215mm)
頁数:96p
製版・印刷:スミ+特色1C(特グレー)
製本:糸かがり上製本
今回ご紹介するのは、2002年刊行、広瀬飛一氏の写真集『人間・仲代達矢』です。
広瀬飛一氏が名優・仲代達矢氏を、四半世紀にわたり撮り続けた写真集。仲代達矢氏は1932年生まれ、言わずと知れた日本を代表する名優です。
1952年に俳優座養成所に入所、以降俳優としての才能を開花させ、小林正樹監督「人間の條件」、黒澤明監督「椿三十郎」「用心棒」、五社英雄監督「鬼龍院花子の生涯」などのほかに、成瀬巳喜男、市川崑、岡本喜八などの名だたる映画監督の作品に出演。ほかにも大河ドラマ「新・平家物語」など、映画・ドラマ・舞台の一線で活躍されてきました。
1975年には、俳優を育成する私塾「無名塾」を、亡き妻の宮崎恭子氏(女優・脚本家・演出家)と設立。役所広司氏、若村麻由美氏、滝藤賢一氏などの今第一線で活躍する俳優たちの才能を発掘、育成してきました。
広瀬氏はもともと20代からテレビカメラマンとして活躍されており、仲代氏とは、娘・奈緒さんの写真を撮影に来られたのが縁だそうです。その後も無名塾と仲代氏の写真を四半世紀にわたり撮り続けていますが、広瀬氏と仲代氏の関係、距離感は、単なるカメラマンと被写体のそれとは言えない、不思議な空気感があります。
それは、写真集巻末に寄せられた、仲代氏の次の文章からも伺い知ることができます。
役者をやって五十年が過ぎた。若い時はいつもがむしゃらに走ってきた。しかし七十を前にして、稽古の時はあいかわらず葛藤の繰り返しだが、舞台に立つと瞬間を大切にすればそれでいいだろうと思えるようになった。役柄と自分の共通点を信じ観客の前で素っ裸になる。
広瀬さんがカメラをもって私の生活の中に入ってきても、私は素っ裸、取り繕うことはしない。別に見せたいこともないし、見られて困ることもない。淡々といつものように暮らしていればそれでいいのである。
—仲代達矢「広瀬飛一さん」より
自分の存在が仲代氏や無名塾の塾生たちの邪魔にならないよう、場の空気を壊さぬよう存在感を消して、広瀬氏がカメラに収めた仲代氏は、芝居を愛し、厳しく向き合う眼光鋭い演劇人、妻や子供を愛し、慈愛の眼差しで見つめる家庭人、どちらも人間・仲代達矢を克明に表しています。
仲代氏は今年90歳になられますが、まだまだ私たちにその魂のこもった素晴らしい演技を届けていただきたいです。人間・仲代達矢の魅力が凝縮された素晴らしい写真集です。ぜひご覧ください。
担当プリンティングディレクターより
髙栁 昇
スミとグレーのダブルトーン印刷。仲代氏の眼光鋭い眼差しや、雄弁に物語る表情筋など、役者の命ともいうべき顔の階調がつぶれないように、ディテールを出しています。
アートディレクション:坪内祝義(TOKIデザイン室)
編集:島田惣作
<写真集>人間・仲代達矢 – 無名塾 Official Shop
広瀬飛一(ひろせ・とびいち)が仲代達矢を、四半世紀にわたり撮り続けた写真集 『人間・仲代達矢 本人の話より抜粋』 広瀬さんがカメラをもって私の生活に入ってきても、私は素っ裸、 取り繕うことはしない。別に見せたいこともないし、見られて困る こともない。淡々といつものように暮らしていればそれでいいので ある。 個別送料:510円/個 ※まとめてご購入の際は送料が異なります。改めてメールにてご通知いたします。