豊吉雅昭写真集 MONOCLE VISION first/MONOCLE VISION Spain
写真・文:豊吉雅昭
発行日:2022/4/1
判型:A4縦判(297×210mm)
頁数:24頁
用紙:ユーライト、オーロラコート
印刷: 墨調4色・デジタルオフセット
加工・製本: 表紙グロスPP加工・中綴じ製本
今回は写真家、豊吉雅昭さんの写真集「MONOCLE VISION first」「MONOCLE VISION Spain」をご紹介させていただきます。
豊吉雅昭さんは1975年生まれ、埼玉県出身。写真家・所幸則氏に師事。緑内障による視野欠損が進み、現在では左目の大半の視野が失われています。今回の2冊の写真集は、4月に開催される初の個展に合わせて制作をお手伝いいたしました。
「Monocle(モノクル)」とは19世紀末頃にヨーロッパの上流階級で流行した視界矯正器具(片眼鏡)のことで、装着している方の目で遠くを、裸眼の目で近くをカバーすることにより、遠近両用見えるものだったようです。しかし左右の目で見え方が異なるため、遠近感や透明感に欠け、その視界は不明瞭だったと伝えられています。
豊吉さんはご自身の緑内障でほとんど視野を失った左目と見えている右目の状態を、さながら「Monocle(モノクル)」をかけているようだとお感じになり、ライフワークとされているこの写真集では、豊吉さんの見ている視界をイメージして作品にされています。
その写真を眺めていると、雑踏を歩く人々の顔は判別できず、確かにそこに存在しているのにもかかわらず透明人間のよう、鮮やかな色彩はなくモノクロの世界が続きます。スペインの光輝く陽光や美しいステンドグラスなども、豊吉さんの視界で再現された世界では確認することはできません。
ただこの不均衡な視界で撮影されたこれらの写真を眺めていると、どこかディストピアSFの世界に迷い込んだような不思議な感覚に襲われ、つい見入ってしまう魅力があります。
今回写真集の制作にあたり、仕上がりイメージを打ち合わせさせていただき、作品を大きく見せつつ四方の余白がない断ち落としのデザインで制作させて頂きました。弊社担当とのやりとりの中で、豊吉さんが「実際の視界には余白がありませんものね…」とおっしゃったのが印象に残っています。
豊吉雅昭さんの写真展「MONOCLE VISION」は2022年4月4日(月)~4月16日(土)まで銀座のArt Gallery M84で開催予定です。こちらの写真集も会場にて販売されますので、ぜひ足をお運びください。
また、個展の開催に合わせた作品集の制作をお考えの方、弊社では小部数での制作も承っております。お気軽にご相談ください。
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モノクル(片眼鏡)は19世紀末頃に、ヨーロッパの上流階級の間で流行しました 鼻眼鏡より以前に視力矯正器具として使用され、装着している方の目で遠くを、裸眼の目で近くをカバーすることにより遠近両方見えるというものでした。 しかし左右の目で見え方が異なるため、遠近感や晴明感に欠け、その視界は不明瞭だったそうです。 …