小松美羽展 図録
発行:川崎市岡本太郎美術館
発行日:2022/6
判型:A4縦変型判(297×225mm)
頁数:216p
製版・印刷:プロセス4C、特色2C(特金+特銀)、表紙はグロスニス
用紙:b7トラネクスト、NTラシャ 鼠、ブラックブラック
製本:無線綴じPUR並製本
今回は、川崎市岡本太郎美術館で開催中の『小松美羽展』図録をご紹介いたします。
現代アーティスト・小松美羽氏は1984年、長野県坂城町生まれ。2015年、英国王立園芸協会主催のガーデニングイベント「チェルシーフラワーショー」にて、一対の有田焼狛犬「天地の守護獣」を庭の守り神として展示、「EDO NO NIWA」がゴールドメダル獲得。この狛犬は大英博物館所蔵となり日本館に永久展示されています。
小松氏の代名詞とも言える狛犬をモチーフとした作品に加え、近年はマンダラをテーマにした作品も多数制作。また名刹でのライブペインティングを意欲的に行っており、その作品は高野山別格本山三宝院や日蓮宗総本山の身延山久遠寺などに奉納されています。
私にとってライブペイントはパフォーマンスではなくご神事であり、祈る形であり、瞑想でもあります。その場に集まったエネルギーや土地の力、全てのご縁、そして運命に敬意を持ってキャンパスに向かいます。
未来の子どもたちのためにも、肉体が求めている快楽を幸せだと信じるのではなく、私やあなたの魂が本当に求めているものに寄り添い、自分自身に与えられた使命を全うしながら、人と人、自然と宇宙との大調和を実現する時代にしたいものです。私は祈りと絵筆を通して、そのプロセスに貢献できることを願っています。
(株式会社デジタルガレージ主宰のTHE NEW CONTEXT CONFERENCE 2021「人類と地球環境の調和」をテーマに語られたスピーチより)
また、幼少期より彼女が「山犬さま」と呼ぶ幻視の狼(大神)に守られていた、と語っています。幼い頃からの不思議な体験、霊的なものへの親近によって培われてきた彼女の感性が、ライブ・ペインティングという形で心身を賭し神仏に祈りを捧げる「現代の巫女(シャーマン)」たらしめてるのかもしれません。
今回図録制作にあたり、プリンティングディレクターが川崎市岡本太郎美術館に赴き、現物校正を行いました。作品の鮮烈な色彩を再現するため、全体をボリュームアップし、金銀を使用している作品については、黄色や白に見えないよう細心の注意を払い製版、印刷しています。表紙の金銀インキはスーパーゴールドとスーパーシルバーを使用しリッチで高級感のある仕上がりに。
この展覧会は川崎市岡本太郎美術館にて、8月28日(日)まで開催。小松氏の生み出す作品の神秘性、霊性を堪能できる充実の展示内容です。ぜひお運びください。
企画・構成:飛鷹全法(高野山高祖院住職)、川崎市岡本太郎美術館、Whitestone Gallery、株式会社風
執筆:土方明司(川崎市岡本太郎美術館館長)、安藤礼二(多摩美術大学教授)、鵜飼秀徳(京都・嵯峨正覚寺住職)、シネード・ヴィルバー(クリーヴランド美術館学芸員)
撮影:田原桂一、永坂嘉光、加藤健
写真提供:Whitestone Gallery、株式会社風土
翻訳:トライベクトル株式会社
アートディレクション&デザイン:加藤賢策(LABORATORIES)
デザインアシスタント:望月滉大(LABORATORIES)
製作:株式会社求龍堂
プリンティングディレクター:細野仁
岡本太郎美術館
小松美羽《NEXT MANDALA―魂の故郷》2021年 個人蔵 小松美羽は1984年に長野県に生まれ、豊かな自然の中で生き物の生と死を間近に見てきた経験から、 独自の死生観を形作ってきました。 次第に、日本の神々の使いや神獣、人々の祈りといった 「見えない何か」からインスピレーションを得たモチーフを描くようになります。 …