豆くう人々 世界の豆探訪記
著者、撮影(カバー人物、本文):長谷川清美(べにや長谷川商店)
撮(カバー豆、口絵):奥山淳志
ブックデザイン:農文協プロダクション
発行日:2021/12/15
発行:一般社団法人 農山漁村文化協会
判型:B6縦判(188×127mm)
頁数:280頁
用紙:OKトップコート+、オペラホワイトウルトラ、ライトスタッフGA(N)-FS、オーロラコート、NTラシャ 象牙
製版・印刷:本文はプロセス4C、スミ、表紙、扉、帯は特1C(表紙、扉は特橙、帯は特茶)、カバーはプロセス4CにグロスPP加工
製本:あじろ綴じ並製本
皆さん「豆」はお好きですか?
一口に豆といっても、大豆、インゲン豆、小豆、そら豆etc…日本だけでも、たくさんの種類がありますが、今回ご紹介する、長谷川清美さん著「豆くう人々 世界の豆探訪記」では10年かけて世界66ヵ国を取材し、その中から約30ヵ国・地域の厳選エピソードが収録されています。
大豆、いんげん豆、小豆、ささげ、リマ豆など、世界でどんな豆が栽培され、食べられているかを知ることができる豆探訪記であり、長谷川さんの疾走グラフィティでもあります。
自身も北海道・遠軽の老舗豆専門店「べにや長谷川商店」の長女で、豆をこよなく愛する長谷川さんが、現地の人々が暮らす家に訪問し、時には厚かましいほどの熱意で台所やかまどを物色し、調味料や食材について根掘り葉掘り質問しまくるそのバイタリティに感服しきりです。またあとがきでご本人も感謝されていますが、現地の方々のホスピタリティがとても素晴らしいです。
メキシコの黒いんげん豆のお焼き「メメラス」、チュニジアのひよこ豆ドリンク「プシサ」、ナイジェリアのストリートフード「ささげの揚げドーナツ・アカラ」、ミャンマー版・納豆「ペポ」など、現地を訪れ食べ尽くした、世界の豆料理の簡単なつくりかた70点も収録。主な豆の分類図付き。
モノクロページには、長谷川さんが現地で撮影した食事風景や料理の写真がたくさん収録されています。これらの写真は、より美味しく見えるように、暗部の調子をよく出して明るく、製版、印刷しています。
長谷川さんは「豆を煮、食べる」、世界の「豆くう人々」には極めてシンプルな日常であり、そこには「手間がかかる、とか面倒臭い」などはない、ただひたすらに「生きるために豆をくう」、「食べること」の原点をみせつけられ、彼らのこしらえる素朴な豆料理の美味しさに、何度も救われたとおっしゃっています。
自ら豆を調理せずとも、毎日、豆腐、油揚げ、味噌、醤油などは食卓に上りますし、大豆や金時豆の煮もの、晩酌のお供の枝豆、和菓子のあんこなど、意識せずとも豆はとても身近な食材です。「豆くう」私たち日本人も、この本で世界の「豆くう人々」の暮らしを知ることで、今一度「食べること」の原点について振り返ってみてはいかがでしょうか。