Lee Ufan  李禹煥

編:国立新美術館、兵庫県立美術館

発行:平凡社
発行日:2022/8/10

判型:A4縦変型判(270×210mm)
頁数:304p
製版・印刷:プロセス4C、スミ、特色1C(スーパーブラック)、カバー、帯はマットニス
用紙:ユーライト、フレアソフト、オペラホワイトマックス、エスティムNS、クラシコトレーシング-FS
製本:糸かがり上製本

今回は国立新美術館、兵庫県立美術館で開催予定の展覧会「李禹煥展」の公式図録『李禹煥』をご紹介いたします。

国立新美術館開館15周年を記念するこの展覧会は、国際的にも大きな注目を集めてきた「もの派」を代表する美術家、李禹煥(リ・ウファン、1936年-)の東京では初めてとなる大規模な回顧展です。本書は、「もの派」を代表する世界的なアーティストの初期作品から、彫刻の概念を変えた〈関係項〉シリーズ、最新作までを収録。東京・国立新美術館、兵庫県立美術館の展覧会公式図録。

東洋と西洋のさまざまな思想や文学を貪欲に吸収した李氏は、1960年代から現代美術に関心を深め、60年代後半に入って本格的に制作を開始しました。視覚の不確かさを乗り越えようとし、自然や人工の素材を節制の姿勢で組み合わせ提示する「もの派」と呼ばれる動向を牽引しました。また、すべては相互関係のもとにあるという世界観を、視覚芸術だけでなく、著述においても展開。

その作品は、芸術をイメージや主題、意味の世界から解放し、ものともの、ものと人との関係を問いかけます。また、それは、世界のすべてが共時的に存在し、相互に関連しあっていることの証であることを示します。奇しくも私たちは、新型コロナウィルスの脅威に晒され、人間中心主義の世界観に変更を迫られています。李氏の思想と実践は、未曾有の危機を脱するための啓示に満ちた導きと言えるでしょう。

「もの派」にいたる前の視覚の問題を問う初期作品から、彫刻の概念を変えた<関係項>シリーズ、そして、静謐なリズムを奏でる精神性の高い絵画など、代表作が一堂に会します。また、李氏の創造の軌跡をたどる過去の作品とともに、新たな境地を示す新作も出品される予定です。

この展覧会は2022年8月10日(水)~11月7日(月)まで、国立新美術館にて開催予定、また、2022年12月13日(火)~2023年2月12日(日)まで、兵庫県立美術館で開催されます。ぜひ鑑賞のお供や記念に、本図録をご覧ください。

担当プリンティングディレクターより

細野 仁

学芸員の方と綿密に色調の打ち合わせを行い、なかでも特に、ブルーについては深みを出しつつ、黒くならないようにバランスをとっています。背景のキャンバスは、ブルーと対比が出るように、黄色味を感じさせるように仕上げました。

また、李氏が「絵筆のストロークがはっきり出ていなければ、自分の作品とは言えない」とおっしゃるほど重要視されている、絵筆のタッチ、ストロークは、ディテールを硬めにはっきりと出して製版しています。グラデーションについては、細部のディテールを出し、キャンバスに対して特に絵具の白色が明確にわかるようにいたしました。

執筆:李禹煥、逢坂恵理子、蓑豊、アルフレッド・パックマン、建畠晢、米田尚輝、尹志慧、小林公、林優
編集協力:伊東ちひろ(国立新美術館 研究補佐員)、堀千晶(国立新美術館 インターン)
翻訳:アラン・グリースン、アシュレイ・ローリングス、クリストファー・スティヴンズ
ブックデザイン:須山悠里
制作:湯原公浩、日下部行洋、渡辺弥侑(株式会社平凡社)
DTP:株式会社キャップス
特別協力:李美那

国立新美術館開館15周年記念『李禹煥』展覧会ホームページ

自己は有限でも外部との関係で無限があらわれる。表現は無限の次元の開示である。 国立新美術館では開館15周年を記念して、国際的にも大きな注目を集めてきた「もの派」を代表する美術家、李禹煥(リ・ウファン、1936年生)の東京では初めてとなる大規模な回顧展を開催します。 …