ひとりだから楽しい仕事 日本と韓国、ふたつの言語を生きる翻訳家の生活
著:クォン・ナミ
訳:藤田麗子
デザイン:鳴田小夜子
装画:大津萌乃
発行:平凡社
発行日:2023/1/18
判型:B6縦変型判(188×128mm)
頁数:240p
製版・印刷:プロセス4C+マットニス、特色1C(特赤、特青)、スミ
用紙:オペラクリアマックス、ゆるチップ ゆき、グラフィーCOC クリスタルホワイト、エアラス スーパーホワイト
製本:あじろ綴じ並製本
今回は、韓国を代表する日本文学の翻訳家クォン・ナミさん著『ひとりだから楽しい仕事 日本と韓国、ふたつの言語を生きる翻訳家の生活』をご紹介いたします。
村上春樹、小川糸、三浦しをん、益田ミリ作品など300作品以上を翻訳!韓国の日本文学ファンから絶大な支持を得る人気翻訳家がユーモアたっぷりにつづる日常エッセイ。
「タイトルの決定に翻訳家の意見が反映されることはほとんどない。翻訳家が『イマイチだと思います』なんて言っても、1グラムの重みもない」と、出版業界の裏側の話では、「どうしてこんなタイトルにしたんだろう」と首をかしげることもしばしば。日本の人気ドラマ『29歳のクリスマス』のノベライズ本は、ナミさんの記念すべき初の翻訳本でしたが、当初は『恋愛中毒』というタイトルだったそうです。
不器用でちゃんとできないことが多いというナミさん。車の運転どころか、自転車にも乗れず、水泳、裁縫、編み物、料理さえもできないそうですが、天から与えられた「翻訳」の才能一本で、がむしゃらに働き、シングルマザーとして娘の靜河(ジョンハ)さんを素晴らしいお嬢さんに育て上げたのには、頭が下がります。
母の過去のエッセイを読んで感動し、素直に「お母さん、スゴイ!」と伝えてくれ、就職したら「お母さんに美味しいものを食べてほしい」といつもご馳走してくれるなんて、本当に素敵な母娘関係です。翻訳にまつわるあれこれだけでなく、ほのぼのとした家族の日常もうかがうことができ、ユーモラスな文章にクスリとしながら、心がじんわりと暖かくなる素敵なエッセイです。ぜひご一読ください。