季刊 永青文庫 №118 漆芸コレクション かがやきの名品

編集・発行:公益財団法人 永青文庫
発行日:2022/10/8

アートディレクション・デザイン:関宙明(ミスター・ユニバース)

判型:A4縦変型判(283×210mm)
頁数:32p
製版・印刷:プロセス4C
用紙:b7トラネクスト
製本:中綴じ製本

今回ご紹介するのは、『季刊 永青文庫 №118 漆芸コレクション 輝きの名品』です。

永青文庫が所蔵する漆芸コレクションの中から、中世螺鈿鞍の傑作「時雨螺鈿鞍(しぐれらでんくら)」(国宝)をはじめ、様々な種類と地域の「かがやきの名品」が展示されます。

貝殻を嵌め込む「螺鈿(らでん)」、漆を塗り重ねて文様を彫り表す「彫漆(ちょうしつ)」、漆の表面に点や線を刻んで、そこに金箔などを刷り込む「鎗金(そうきん)」といった技法が中国で生まれ、金銀粉や色粉を蒔きつける「蒔絵」が、日本では独自に発展していきました。この漆芸の「かがやき」はアジアのみならず、西洋人をも魅了し、漆芸は東洋を象徴するものとなりました。

また、近年、永青文庫では専門家の協力のもと、所蔵品の調査を行っており、今回の展覧会でもその調査結果を反映させた充実の内容となっています。優品でありながら、これまでほとんど出品の機会がなかった中国漆器の作品も見出すことができたそうです。

永青文庫のバリエーション豊かな漆芸品をご堪能いただけるこの展覧会は、2022年10月8日(土)~12月11日(日)まで開催予定です。ぜひお運びください。

担当プリンティングディレクターより

髙栁 昇

スミの黒さをより高級感のある濃厚なイメージに仕上げるため、通常のリッチブラックがC(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)がそれぞれ40%、K(スミ)100%で構成されているのに対し、CMYを70~80%、K100%のバランスで製版し、濃度を上げて印刷しています。

また「かがやきの名品」という名に違わぬよう、螺鈿の美しい光の反射、金の放つ輝き、朱赤や黒の光沢感の演出にとことんこだわりました。微塗工紙に分類される用紙のb7トラネクストはインキの吸湿性に優れており、その風合いも相俟って、深みのあるグロス感を湛えた仕上りに一役買っています。

永青文庫美術館

江戸時代後期の禅僧・仙厓義梵(せんがいぎぼん)(1750 ~ 1837)は、ユーモアに富んだ書画を通して禅の教えを広く伝えたことで知られます。永青文庫には、設立者・細川護立(もりたつ)(1883 ~ 1970)が集めた仙厓の作品100 点以上が所蔵されており、江戸時代中期の禅僧・白隠慧鶴(はくいんえかく)(1685~1768)の書画とともに当館の禅画コレクションの重要な柱となっています。その全容は、2016 年の秋冬展「仙厓ワールド―来て見て笑って!仙厓さんのゆるカワ絵画―」において初めて公開され、話題を呼びました。 第2 弾となる本展では、選りすぐりの仙厓作品に加え、兄弟子にあたる誠拙周樗(せいせつしゅうちょ)(1745~1820)など、仙厓周辺の禅僧による書画をあわせて展示し、これまでほとんど取り上げる機会のなかった知られざる禅画コレクションの一端を紹介します。さらに、禅画への理解と親しみを深めるため、画題を解説するコーナーを設けるほか、作品の人気投票も開催。仙厓が人々にやさしく説いた禅の世界をお楽しみください。