須田一政写真集 Early Works 1970-1975

著者:須田一政

Art&Editorial Direction:Akio Nagasawa
Designer:Hiroshi Nakajima

発行日:2013/9/28
発行:Akio Nagasawa Publishing

判型:A4横変型判(200×210mm)
頁数:254頁
用紙:しらおいマット、ニューVマット、ユーロ・シルク EU-8
製版・印刷:本文、表紙は3C(スミ+特グレー+全面ニス)
製本:糸かがり上製本、クロス装、空押し、題箋貼り

今回は2013年にお手伝いさせていただいた、須田一政さんの写真集「Early Works 1970-1975」をご紹介させていただきます。

須田一政氏は1940年東京都生まれ。62年に東京綜合写真専門学校を卒業し、67年より寺山修司が主宰する演劇実験室「天井桟敷」の専属カメラマンとなります。71年よりフリーランスの写真家として活動を開始。76年、「風姿花伝」にて日本写真協会新人賞を受賞し、脚光を浴びます。

その後、83年に写真展「物草拾遺」等により日本写真協会年度賞を受賞、97年に写真集「人間の記憶」により第16回土門拳賞など受賞多数。2013年には東京都写真美術館にて大規模な回顧展「凪の片」が開催されました。2019年死去、享年78才。

この写真集は、1976年の代表作「風姿花伝」発表以前に、雑誌で発表された作品を、須田さん自ら古いネガの抽斗をひっくり返し、プリントにこぎつけた、ご本人も思い入れのある写真集とのことです。

須田氏の写真は一貫して日常の光景の裏側にある非日常な瞬間を切り取り、写真集を眺めている我々をどこか落ち着かない気持ちにさせつつも魅了してやみません。製版、印刷はスミとグレーのダブルトーンで、諧調を出し、その妖しさを再現しています。

写真集あとがきでは以下のように語られています。「一瞬がカメラを向けたことで微小な時間の残骸になる。遠い過去に対峙した瞬間は、もはや現実というより私の幻覚と言った方が正しいだろう。皆が等しく見るであろう、人生の無量大数をはるかに超える光景の一片を切り落とし、『こんなモノを見ました』と提示する。」

ご本人自ら、作品は「現実」ではない「私の幻覚」であると語られているわけですから、我々がその作品に潜む妖しさや闇、不穏さを感知し、落ち着かない感覚に陥るのも腑に落ちます。

この初期写真集でも、一貫した須田氏の作家性を見ていただくことができます。Akio Nagasawa Publishing 様でサイン入りの稀少本も販売中ですので、ぜひ皆様のコレクションの1冊にお加えください。

Early Works 1970-1975_D – 須田一政 | AKIO NAGASAWA

1940年東京都生まれ。62年に東京綜合写真専門学校を卒業。67年より寺山修司が主宰する演劇実験室「天井桟敷」の専属カメラマンとなる。71年よりフリーランスの写真家として活動を開始。76年、『風姿花伝』にて日本写真協会新人賞を受賞し、一躍注目を浴びる。 …