土門拳のこどもたち

著:土門拳

発行:クレヴィス
発行日:2022/11/30

判型:B5縦変型判(250×190mm)
頁数:192p
製版・印刷:特色1C(特グレー)+スミ、スミ、スミ+グロスニス、特色2C(特グレー+特黄)+スミ、カバーはグロスPP加工
用紙:ミューマット、MTA+-FS、OKトップコート+、コニーラップ ブラック
製本:糸かがり上製本

今回ご紹介するのは、写真家・土門拳の写真集『土門拳のこどもたち』です。

写真家としてスタートした1935年から戦前の出世作、戦後の困難な時代の作品、名作『筑豊のこどもたち』から、1950年代の日本にこどもが沢山いた時代まで、名作164点収録!生き生きと輝く「こどもたち」を一冊に!屈託なく遊び、躍動感あふれるこどもの写真は、時代を超えて見る者の心を熱くします。寄稿は北野武氏。土門拳のエッセイ・自作解説も多数収録。

「写真の鬼」と称され、「リアリズム写真運動」に心血を注いだ土門ですが、「絶対非演出の絶対スナップ」の骨頂となる傑作写真集『筑豊のこどもたち』(1960年パトリア書店)を発表後、脳出血に倒れ、後遺症により以後は35ミリカメラでの撮影を断念せざるを得なくなりました。1950年代に撮影されたこれらのこどもたちの写真は、貧しいなかであってもたくましく、生き生きと光輝いています。

強面の土門ですが、こどもたちにはすぐにうちとけられる才能もあったようで、被写体となるこどもたちは、メンコ、おままごと、お祭り、お使い、子守、靴磨き…どんな場面でも土門に心を許しているように見えます。生来こども好きであった土門ですが、1947年に次女を不慮の事故で亡くしたこともあり、娘の面影を求め、こどもたちにカメラを向けずにはいられなかったのかもしれません。

「リアリズムとはカメラという名の四角く冷たい機械の中にあるのではなくて、写す人間そのものの世界観と表現方法の中にひそんでいるのである」と語った土門。写真を人間の仕事とし、人間を、こどもたちを愛した土門のまなざしが伝わる写真集です。ぜひご覧ください。

担当プリンティングディレクターより

髙栁 昇

見本としていたウォームトーンのグレーとスミのダブルトーンで、いきいきとしたこどもたちの顔、瞳の輝き、強く生き抜くたくましさを表現するため、懐かしく暖かみのある印象に仕上げています。暗部は階調とディテールを出し、潰れないよう留意いたしました。

協力:公益財団法人さかた文化財団 土門拳記念館、池田真魚(公益財団法人さかた文化財団 土門拳記念館館長)
ブックデザイン:土居裕彰(クレヴィス)
編集:小西治美
制作:別府笑(クレヴィス)