小林のりお写真集 Cluster of Dreams
著:小林のりお
発行:武蔵野美術大学出版局
発行日:2023/2/1
寄稿:笠間悠貴
翻訳:小川紀久子
デザイン:中 新
判型:A4縦変型判(259×300mm)
頁数:112p
製版・印刷:プロセス4C、スミ、プロセス4C+グロスニス
用紙:サテン金藤N、アラベール-FS スノーホワイト、ヴァンヌーボVG スノーホワイト
製本:糸かがり上製本、角背、タイトバック、箔押し
今回は、写真家・小林のりお氏の写真集『Cluster of Dreams』をご紹介いたします。
『LANDSCAPES』や『FIRST LIGHT』などの数々の傑作写真集を発表し続けてきた、小林氏。それらは、定置観測的にブローニーや4×5のカメラを三脚に構え、リバーサルフィルムを使用しハイコントラストでシャープに写し撮り、「光」を感じさせるものでした。突然木が薙倒され更地となった後に、突然出現する新興住宅の風景は、都市と自然の境界を浮かび上がらせ、写真家もまた観察者であり当事者であるということを示しています。
還暦を過ぎた辺りから、なぜか雪の有りように心惹かれるようになった。雪国・秋田に育った私にとって、雪は冬になれば当たり前のようにそこにあり、何ら特別な存在ではなかったのだが、春になって陽光を浴び、やがて薄汚れて誰も気づかないうちにスーと跡形もなく消えてゆく雪の潔さに惹かれ、雪そのものを対象に写真を撮るようになった。
真っ白な雪は誤魔化しがきかない。しばらくは悪戦苦闘の日々が続いた。もしも、少年の日の私だったら雪をどんな風に撮っただろうか。おそらく、表現するとかしないとか、そんな小難しいことは考えるまでもなく、眼に飛び込んでくる光景を無心で受け取り無我夢中で撮り続けたに違いない。
ー小林のりお 「Cluster of Dreams に寄せて」より
雪の風景は、小林氏がこれまで撮影してきた都市の風景と同じく解体と再生を示しています。故郷秋田の雪への追憶からスタートし、全国各地で撮影された雪の風景。嵩高く積もった雪は、徐々に汚れていき、崩れ去り、水溜まりや川の水となって、植物を育んでいきます。そこには我々の人生のサイクルと相通じるものも感じられるのではないでしょうか。この写真集は1月25日発売予定、書店予約受付中です。ぜひご覧ください。
小林のりお先生『Cluster of Dreams』印刷完了!
12月1日と2日は、朝の9時に北朝霞駅に集合。 集合したのは、写真家の小林のりお先生と、デザイナーの中新(なか・あらた)さんとハムコ。 東京印書館の営業マンが迎えに来てくださる。 車で約10分ほどで、本社ビルとは少し離れたところにある工場に到着。 工場に隣接した小さな建物の2階の待合室で、写真家・デザイナー・編集者が待機していると …