Åren
著:マックス・ワルター・スワーンベリ
訳:奥山裕介
発行:LIBRAIRIE6
発行日:2019/10/5
判型:B5縦変型判(257×177mm)
頁数:72p
製版・印刷:スミ+特色1C(特青)、プロセス4C+マットニス
用紙:b7バルキー、NTラシャ 無垢、モデラトーンGA エキストラホワイト
製本:糸かがり上製本、箔押し
今回ご紹介するのは、2019年刊行、マックス・ワルター・スワーンベリの詩集『Åren』です。
マックス・ワルター・スワーンベリは、1912年スウェーデンのマルメ出身の画家、イラストレーター、詩人。日本では澁澤龍彦の著作によってシュルレアリスムの画家として知られています。本書は彼の未発表詩集『Åren』を初版限定500部で刊行されたものです。
LIBRAIRIE6の佐々木聖氏が、2018年にスウェーデンのマルメにあるスワーンベリのアトリエを訪問した際に、ご遺族から詩をお預りした事がきっかけとなり出版の運びとなったそうです。
黒の白鳥、黒の翼
こたえよ、こたえよ!
黄ばんだ天鵞絨(ビロード)、黄ばんだ顔
こたえよ、こたえよ!
黒い海、黒い薔薇
ゆすれ、ゆすれ!
死んだ手、死の安息
しずまれ、しずまれ—「死」本文38ページより
スワーンベリは徹頭徹尾、女性を賛美し、ファムファタル(運命の女)として妻のグンニを愛し、すべての創作活動の源としました。澁澤龍彦も愛した彼の絵画では、鳥や魚や様々な装飾と融け合った、奇妙でエロティックな女性の姿が描かれ、見るものを魅了します。その絵画が幻想的な詩と調和し、ページをめくるごとに、私たちを美しく甘美な世界へといざなってくれます。
佐野裕哉氏による美しい装丁は、スウェーデンの白夜を思わせる冷たく淡いブルーに、銀でタイトルの『Åren』が箔押しされています。つかのま現実を忘れ、蠱惑的な夢の世界に誘ってくれる美麗な詩集です。ぜひ、皆様の書棚にコレクションしていただきたい一冊です。
ブックデザイン:佐野裕哉
協力:ロースマリー・スワーンベリ、後藤真知(日本パウル・クレー協会)、木村(オロフソン)朱利、阿部賢一