清水哲朗写真集 轍
著者:清水哲朗
編集:高橋佐智子
デザイン:植木勲
発行日:2022/6/1
判型:A5横変型判(184×208mm)
頁数:96p
製版・印刷:プロセス4C、特色1C(特青)+スミ+グロスニス
用紙:アルティマックス、ヴァンヌーボV-FS スノーホワイト、タント H-53
製本:無線綴じPUR製本
今回は、写真家・清水哲朗さんの写真集『轍』を、担当営業・桝川よりご紹介いたします。
印書館の樽ドルYouTuber、桝川です。
こういうレンズっぽい半球状の硝子の丸い計器類。最高にワクワクしますね。男子はメーターに弱いんですよ。
さて、最近わが社でも最新のハイブリッド車を調達したんですが、乗ってみたところ計器類はパソコンのモニターみたいなやつで、ドアの開け閉め、換気一つするのに悪戦苦闘。コンピューターゲームをしているみたい。
なにか異常があると音声で教えてくれるのはいいんだけど、警告音が鳴るたびに何か間違えたんじゃないかとびくびくもの。車を運転するというより載せてもらっている、みたい。
いや、もちろん車は故障なんかしないほうがいいんですが、「世話が焼けるなぁ」なんて自分で修理してまた走り出したら最高にうれしいでしょうね。
最近の車の「顔」にも少し言いたいことがあります。車の顔っていつからどれもこんなに怖くなったんでしょうか?鋭く吊り上がった目。鼻や口も牙をむきだしたり、不機嫌そうにひん曲がっていたり。
以前サイクリングが趣味の友人がこんなことを言ってました。~自転車屋にとって、そのつもりはなくとも車は後ろから迫ってくる威圧的な存在。
特に最近の車はどれも狼かスズメバチのような恐ろし気な顔。それらにあおられると本当に怖い。そしてそんな車から出てくる人たちが、優しそうなおじさんだったりおばさんだったりすると、何かこう、ギャップに苦しんでしまう~。
旧共産圏の無骨な働く車たちの顔、顔、顔。
速くなり、便利になり、安全になり、省エネになったんだろうけど。
懐かしいなぁ。車は「ガソリンと空気と水」で走っていた時代が。
左足でクラッチを切って左手でギアをぶち込んでいた時代が。
窓はぐるぐる手で回して開けていた時代が。
特にこのUAZ-452というバンは離れた小さな丸い目とぽっかり空けた口がガチャピンみたいで可愛い。けわしい切通からひょっこり顔を出しているこの写真、私の最高にお気にいりです。
モンゴルの大地はなぜか懐かしい。人々も車も…
表紙には、この写真集のテーマでもある「轍」を空押しし、その凹凸に触れるたびに「轍」を感じ取っていただける仕掛けがなされています。
6月13日(水)まで、CO-CO PHOTO SALONにて写真展が開催中です。こちらの写真集も会場で販売されていますので、ぜひお運びください。
轍 – CO-CO PHOTO SALON -ココフォトサロン-
1975年 横浜市生まれ 日本写真芸術専門学校卒業後、写真家・竹内敏信の助手を務め、23歳でフリーランスに。 独自の視点で自然風景からスナップ、ドキュメントまで幅広く撮影。モンゴルは1997年より ライフワークとしている。 写真集『CHANGE』『New Type』『おたまじゃくし Genetic Memory』 図録『トウキョウカラス』、写真絵本偕成社世界のともだちシリーズ05 『モンゴル 草原でくらすバタナー』 フォトエッセー『うまたび-モンゴルを20年間取材した写真家の記録-』『モンゴリアンチョップ』個展開催多数。 主な受賞暦は第1回名取洋之助写真賞、2014 日本写真協会新人賞、2016 さがみはら写真新人奨励賞。 公益社団法人日本写真家協会会員 日本大学藝術学部写真学科非常勤講師