ふつうの系譜 「奇想」があるなら「ふつう」もあります 京の絵画と敦賀コレクション
主催:府中市美術館
発行日:2020/3/14
発行:府中市美術館
判型:A5横変型判(197×210mm)
頁数:252頁
用紙:b7トラネクスト、NTほそおりGA スノーホワイト
製版・印刷:プロセス4C、スミ(本文)、特色2C+マットニス(表紙、特グレー+コンクスミ)
製本:無線綴じPUR製本、仮フランス装
今回は府中市美術館にて開催中の「ふつうの系譜」展図録をご紹介いたします。
「ふつうの系譜」展とは、現在人気の伊藤若冲や曽我蕭白らの奇抜だったり薄気味悪かったりする「奇想」の絵画に対し、同時代に誰もがきれい、美しいと思うような「ふつう」の絵画を取り上げた展覧会です。
ここでの「ふつう」とは、いわゆる当時のメインストリーム(主流派)のこと。古くから愛されてきたやまと絵、中国風の絵の良さを広めた狩野派、万人に愛される新しい美を作りだそうとした円山応挙らの作品をじっくり見ることができる絶好の機会です。
また敦賀市立博物館の江戸絵画コレクションの中から、選りすぐりの「美しい」作品群も展示。日本画ならではの、絵の具の鮮やかさ、墨の雄弁さをご覧いただけます。
あえて現代の私たちから見て「奇想」と「ふつう」のどちらか迷うような作品も展示されており、当時の生活や文化を知ると、現在は「奇想」と思うようなことが「ふつう」だったり、その逆もしかりで面白い発見があるのではないでしょうか。
愛くるしい仔犬や迫力満点の虎の絵など、動物絵画も充実のラインナップです。図録にも「『もふもふ』は世の中を変える」との考察がありますが、円山応挙や森狙仙の「もふもふ」した動物たちのかわいらしさは、現在の私たち同様、当時の人々の心を惹きつけ、絵画好きの人口を増やしたのかもしれません。
日本画の絵の具の鮮やかさ、描線の繊細さ、墨の濃淡を忠実に再現するよう、製版、印刷しています。製本は仮フランス装(表紙にやや大きい紙を天地左右の余白を折り返して糊付けした装丁)で、デザインも細部にこだわった仕上がりになっています。
この展覧会は2022年5月8日(日)まで、府中市美術館にて好評開催中です。「ふつう」に美しい日本画を一堂に鑑賞することができる貴重な機会ですので、ぜひ足をお運びください。
特別協力:敦賀市立博物館
展覧会企画担当:金子信久(府中市美術館)/音ゆみ子(府中市美術館)
編集:久保恵子(本展図録制作チーム)
デザイン:島内泰弘デザイン室
ふつうの系譜 「奇想」があるなら「ふつう」もあります─京の絵画と敦賀コレクション
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