鉄道写真家、諸河久様の最新写真集「モノクロームの私鉄原風景」の印刷を弊社でお手伝いさせて頂きました。

“鉄道ダイヤ情報”誌2003年10月号~2006年9月号に全36回にわたり連載された記事が再編集されており、デジタルリマスターされた写真とともにまとめられています。1960年代に全国各地で撮影された私鉄写真の数々。それに伴う詳細な記録と撮影エピソードも必読です。

鉄道好き垂涎の写真集なのはもちろんですが、著者様が振り返る1960年代当時のエピソードは記録として、また物語としても大変興味深く、読み進めるうちに当時にタイムスリップするかのような感覚に陥ります。

印刷のこだわり・ポイント

印刷はスミとグレーのダブルトーンで設計。中間調豊かなプリントをターゲット(見本)に、印刷・用紙適性を厳密に考慮してバランスを整えています。

写真集を開くとまさにその場にいるかのような実体感・臨場感を出すにあたり、主役である車両のディティールを出しつつも立体感・遠近感を出すことに苦心しました。製版段階では、印刷仕上がりイメージを想定した上で、暗部から中間の網点濃度を若干明るくしておきます。

実際の印刷ではドライダウン(乾燥による濃度の低下)や印刷圧力により網点が太るドットゲインなどの現象を考慮しつつ、ターゲットプリントに負けない濃度感・臨場感のある写真集に仕上がるよう、最適なインキ転移量を常に見極めながら微調整しています。結果、最終的な仕上がりに著者様にも大変ご満足頂くことができました。

モノクロームの私鉄原風景〜懐かしき1960年代の鉄道〜は全国書店にて絶賛好評発売中です。撮影当時の風景がまるで自分の記憶のように目の前に甦るかのような、躍動感あふれる素晴らしい写真集。鉄道ファンの方はもちろん、幅広く多くの方にお手に取り頂きたいと思って止みません。