吉澤美樹 複製原画
2023年11月23日から開催されるTOKYO ART BOOK FAIR 2023に向けて、銅版画坂として活動する弊社製版課スタッフ、吉澤美樹による作品集”tiny story”がようやく完成し、いよいよ明日から販売予定です。(作品集についての記事はこちら)
今回は作品集の販売に合わせて、デジタル印刷機によるエンハンス出力で複製原画の制作を行いました。現物の銅版画と見分けがつかないほど精巧な複製に仕上げるべく、工夫を重ねました。以下、制作工程をご紹介します。
今回はオフセット印刷による作品集に加え、デジタル印刷による複製原画も3点制作いたしました。
通常は16色あるデジタル印刷機の色をCMYKの4色に振り分けて使用していますが、今回は16色をフルに活用し、Adobe RGBの広い色域で原画の色調を再現します。そして、エンハンス出力という色域をCMYKからRGBに拡張し、黒色の最大値を上げる機能を使用することでよりコントラストが強く、鮮やかな印刷が可能になります。
まず、紙は原画に近い質感のライトスタッフGAの170gの紙を使用しました。 最初はデフォルトの設定で印刷してみましたが、塗布量がやや多すぎたため濃く出過ぎてしまいました。そこで、塗布量を減らし再度印刷を行いました。
すると紙がラフな質感の用紙のため、絵柄がややぼやけて見える結果に。そこで、画像のシャープネスを強めると同時にライト側をやや明るめにして、コントラストをつける方向で調整を行いました。このように微調整を加えながら印刷をしていくとで、原画に近づけることができました。隣に並べて見比べても、色の差を見分けるのが難しいほどです。
(上:原画 下:複製)
完成した作品の印刷設定を他の画像にも当てはめてみると、他の2点もほとんど原画と見分けがつかないものを出力することができました。最後に部分調節を行い、複製品として申し分ないものが完成しました。こちらの3点もTABFにて販売予定です(各一点限定)。ぜひ、会場で現物をご覧頂ければ幸いです。
製版課 吉澤美樹
(2023/11/21)