素材考-新素材研究所の試み
著:榊田倫之
発行:平凡社
発行日:2023/6/21
装丁・デザイン:下田理恵
判型:B5縦変形判(240×172mm)
頁数:192p
製版・印刷:本文 プロセス4C、カバー 帯 プロセス4C+グロスニス、表紙 スーパーBL
用紙:b7トラネクスト、ヴァンヌーボスノーホワイト、NTラシャグレー90
製本:あじろ綴じ 上製本
今回は「新素材研究所」の建築家・榊田倫之氏による著作、『素材考-新素材研究所の試み』をご紹介いたします。
建築家・榊田倫之氏は、現代美術作家・杉本博司氏と新素材研究所を設立、同氏のパートナー・アーキテクトとして数多くの設計を手がけています。
「新素材研究所」と聞くといかにも現代の技術を駆使した新建材を研究してそうです。しかしそのネーミング自体が問題提起を内包したシニカルなものであり、実は古い素材や技術を未来へつなげていこうとする旧素材の研究を軸としています。
屋久杉、小松石、低焼成瓦、耐候性鋼など素材ごとに節を区切り、それぞれ何を考えて最終的なデザインに至ったのかを、重厚な写真とともに語ります。
現時点において、いくつかの素材について、考えた痕跡をここに記すことで、どのような空間表現につながったか。過去のプロジェクトを振り返り、素材の魅力、さらには持続可能な社会に向けた日本の魅力について考えていきたい。
—はじめに より
デザインにあたって、素材を深く探求し、知ることをいかに重要視しているかが伝わってきます。いったい、デザインが先にあって素材を吟味するのか、はたまた素材の探求をつきつめていくと最終的に素材がデザインを決めてしまうのか。完成に至るまでの思考を覗いてみたくなりませんか。
世界的な建築家のデザインはどのような思考で生み出されてきたのか、その秘密が垣間見られる一冊です。
(文・製版部 穂積)
担当プリンティングディレクターより
細野 仁
木材や石、漆喰など様々な素材を利用し、活かすための建築設計を紹介しています。ここでのポイントは、やはり素材の質感をどの様に再現するかです。用紙はB7トラネクスト(嵩高微塗工紙)ですので暗部の立体感を極力出すことを意識しました。製版設計では、フラットな印象にならないようある程度、コントラストをつけ、且つ自然光での撮影なので雰囲気を壊さないよう調整しました。印刷も必要以上に盛り込みすぎないよう濃度管理しながら対応しました。