怪談 ”kaidan”
著:ラフカディオ・ハーン
画:ヤン・シュヴァンクマイエル
訳:平井呈一
装幀:佐野裕哉
発行:LIBRAIRIE6
発行日:2023/7/8
判型:A5変型(210×144mm)上製本
頁数:183p
製版・印刷:本文 プロセス4C、前見返し 特銀、表紙 UVシルク印刷白
用紙:本文 b7ナチュラル、見返し NTラシャ漆黒、表紙 ビオトープGA-FSポルトブラック
製本:糸かがり
『怪談 ”kaidan”』をご紹介いたします。著者のラフカディオ・ハーン氏(1850-1904)は、日本では”小泉八雲”としてのほうがその名が知られているかと思います。ヨーロッパで生まれ育ちますが1890年に日本の土を踏んだそう。文学者、日本研究家として知られ、日本の文化を世界へ紹介された方です。
ヤン・シュヴァンクマイエル氏はチェコ出身、「アリス」や「オテサーネク」などの映像作品で知られるシュルレアリスムの巨匠。絵画、版画などその作品は多岐にわたります。
おどろおどろしい漆黒の表紙には型抜きした窓、怪物のような何者かが読者をにらみつけます。表紙をめくると本文の左右より短いサイズで漆黒に特銀の文字がのる見返し。それもめくってようやく全体像があらわになるという、一度手にとったら忘れられない装丁です。
日本の伝統的なおばけの物語のうち、チェコ語に訳されたのはごくわずか。『怪談 ”kaidan”』はそのうちの一冊で100年前にチェコに紹介されたそうです。平易な現代日本語に訳しなおしてあり読みやすく、「耳なし芳一のはなし」のようになじみ深いものもあれば初めて読む話しも多数。またどこかで読んだことのある有名な怪談話でも、おばけの名前が現代と異なったりするのも興味深いです。
ヤン・シュヴァンクマイエルは挿絵をつけるにあたってコラージュを選択しました。チェコのおとぎ話の古い挿絵に描かれるおばけと、日本の伝統的なおばけが融合した姿は美しくも怖くて、どこかユーモラスです。ぜひご覧になってください。
2023年7月8日(土)〜 8月13日(日)まで、Galerie LIBRAIRIE6/シス書店の第108回企画として、ヤン・シュヴァンクマイエル「怪談」展が開催されています。ぜひ、足をお運びください。
(文・製版部 穂積)
担当プリンティングディレクターより
この絵の特徴はモノクロ基調の中に一部分が彩色されています。
①そのため通常の製版では印刷時にモノクロ部のグレイバランスが崩れ易くなります。従って製版時、グレイバランスに注意するとともに墨足(墨版の入り始め)を長くしています。具体的に申し上げますと、通常はシアン、マゼンタ、イエローの3色(CMY)の掛け合わせでグレイを再現し、ある一定の濃度域を超えた段階で墨版(ブラック・BL)が加わり、CMYで再現されるグレイ部分を代替します。今回の作品集の色再現にあたっては、モノクロ部分の色バランスを安定させるべく、通常よりも浅い濃度域の段階で、CMYの掛け合わせによるグレイが墨版で代替されるように設計いたしました。
⓶絵の周囲の地の部分にもほのかに調子があり、各作品でバラつかないよう調子を揃えています。
⓷絵の下部に記されている著者の手書きのサイン部分の濃度が薄いため墨版(ブラック・BL)を強めています。
髙栁 昇
統括プリンティングディレクション:髙柳昇
製版ディレクション:竹下真台
印刷ディレクション:高橋満弘
第108回企画 ヤン・シュヴァンクマイエル「怪談」展
Galerie LIBRAIRIE6/シス書店では第108回企画として、ヤン・シュヴァンクマイエル「怪談」展を2023年7月8日(土)〜 8月13日(日)まで開催いたします。
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