ハッサン水谷写真集 サハラ蒼氓
写真/著:ハッサン水谷
発行日:2023/5/16
判型:B5横判(182×257mm)
頁数:156p
製版・印刷:プロセス4C、プロセススミ、カバー・帯はグロスPP加工、表紙はマットPP加工
用紙:A2コート、ニューVマット、タントD-58
製本:糸かがり上製本
今回は、写真家小松健一先生編集・構成のハッサン水谷写真集『サハラ蒼氓』をご紹介いたします。
水谷氏は、もともと火力発電所設備などの特殊な塗装技術を持つ技術者です。
仕事で訪れたサハラでの旅の中でイスラムに改宗、北アフリカのいくつかの部族と、生活やキャラバンを共にし、小松先生云うところの写真家としてではなく生活者として、そのリアルな姿を記録し続けてきました。
アジア・アフリカ・南米のこの手のディープな写真集を好んできた私も初めて見る世界。
写真を見て痛感したのは、砂漠という厳しい世界で生きる彼らにとって部族の結束と宗教が生活の中心。我々が意識する、国境線とか国家とか彼らには意味がないということ。
古くは金、塩、現代では石油、ダイヤ、各種レアメタル。本来彼らの思いもよらぬ地下資源を我々が血眼になって求めた結果、彼らの世界にも国家とか権力とかいらぬ概念が生まれ、アフリカ史はその富に群がる人々に翻弄された争いの歴史になってしまったけれども。
しかし、水谷氏の目に映るのは、我々と変わらぬ「食べ」「眠り」「祈り」「集い」「遊ぶ」子供や大人たち。
愛すべき人々の心を許しあった姿。
水谷氏は徒歩や自転車で日本列島縦断複数回、自転車で北アフリカ横断、チベット-ネパール横断と、どれをとっても手記と講演で一生食べていけそうな冒険を何本もやっており、書内の紀行文からもわかるように、記憶が恐ろしく正確で、話も面白くて止まらないお人。
実は私は、お会いする前まで、さぞ日焼けして蓬髪にひげもじゃ、三日月ナイフをたばさんだ眼光鋭いたくましい巨漢かと勝手に想像していたのだが、実際は飄々とした優しい痩身の紳士なのである。
この謙虚で気さくな人柄の中に宿る荒ぶる行動力と凄まじいほどの冒険心。
そして、サハラへの情熱。
ありのままのサハラを、ぜひご覧ください。
(文・営業部 桝川)
写真集についてのご購入などのお問い合わせにつきましては、下記までお願いいたします。
アトリエぶどうぱん社
小松健一氏
048(456)7302
担当プリンティングディレクターより
髙栁 昇
臨場感にあふれ、乾いた空気の匂いすら伝わるような写真の数々。
全体の雰囲気はバラツキを抑えたいとのご要望につき、光の差し込む方向と、その明るさ度合を意識して処理しました。また、砂漠の風紋が弱くならないよう明部側の階調はアップし、暗部側はディティールを出すように処理。特に被写体の心を開いているかのような表情を最大限表現するように努めました。
編集・構成:小松健一
装幀:塩崎亨
題字:小松風写