スカルプターのための美術解剖学 3 頭頸部編

著:アルディス・ザリンス

発行:ボーンデジタル
発行日:2023/3/25

判型:A4縦変型判(280×216mm)
頁数:224p
製版・印刷:プロセス4C、カバー、帯はグロスPP加工、表紙はマットPP加工
用紙:b7トラネクスト、A2コート、北越アートポスト
製本:無線綴じPUR製本

今回は、アルディス・ザリンス氏著『スカルプターのための美術解剖学 3 頭頸部編』をご紹介いたします。

うすうすお気付きの方もいるかもしれませんが、皮膚の下の筋肉は、人の顔のフォルムとはほとんど関係ありません。顔の筋肉は、最終的な見た目を決める要素の1つにすぎないのです。本書では、頭頚部のフォルムを図を使って紹介しながら、見た目とアナトミー(解剖学)の関係について掘り下げます。

アートの真の自由を謳歌するには、若い白人男性の無表情を描けるだけでは足りません。ミケランジェロのダビデ像は確かに傑作ですが、それを参考にできないケースが多々あるからです。さらに、成功へのカギは、フォルムを再現することではなく、フォルムとその構成を理解することにあります。それができれば、創造的自由は驚くほど広がります。

顔には、たいてい何らかの動きがあります。感情でも変化しますし、年齢、民族、性別、体型、ちょっとした身体構造など、多くの要素が顔の見た目に影響します。

『スカルプターのための美術解剖学 3 頭頸部編』では、これらのカテゴリーに分けて、頭頚部の複雑な部位を分析します。口、目、耳などの各部位を概形に簡略化してから、細かいリアルな形状に少しずつ再構築していきます。ビジュアルアーティストの書籍に欠かせないのは、3Dモデル、写真、カラーコーディングなどの視覚的な画像情報ですが、本書も例外ではありません。文字の使用を最低限に抑えているため、直観的に読み進められる、とても理解しやすい本になっています。

著者のザリンス氏は、ラトビア芸術アカデミーで解剖学を教えており、また昔ながらの彫刻家としても25年以上活動、受賞歴もあります。長年にわたり、アーティストを目指す生徒向けの総合的な視覚解剖学の本を探してきましたが、これといった本がなかったことから、自ら執筆することを決意。この作業は予想以上に大がかりなものとなり、とうとうシリーズは3冊目に突入しました。『スカルプターのための美術解剖学』と『スカルプターのための美術解剖学 2 表情編』もぜひ併せてご覧ください。

翻訳:株式会社 Bスプラウト
編集:加藤諒
レイアウト:梅田美子(株式会社 Bスプラウト)