小池潤写真集 A LIFE 一命
撮影・編集・デザイン：小池潤
フィルム現像、チェック用プリントおよび印刷版下用プリント作成：カメラのマリア堂・秋広健太郎（赤羽）
印刷版下用プリント作成：写真弘社・吉野典子（東神田）
プリント制作デスク：写真弘社・原田宏志（銀座）
発行年：2019年
判型：A5横変型判（148×210ｍｍ）
頁数：228ｐ
製版・印刷：プロセス4C、スミ+特色1C（特赤）+マットニス
用紙：ミューマット、タント N-72、うろこ「ころあい」
製本：あじろ綴じ上製本
今回は、写真家・小池潤さんの写真集『A LIFE 一命』をご紹介いたします。小池氏のご自宅の様子を撮影した写真を中心に、日記のような文章が収められています。
この写真集は2016年の雪降る夜空の写真から始まり、2018年のお母様が亡くなる4日前の写真で終わっています。文章からは、困った伯母さんに振り回されたり、伯母さんの養子の中国人の不義理に憤ったり、愛猫がいなくなってしまい悲しんだりする日々が克明に綴られています。
大変な日々を送る小池さんのお母様、飼っている元ノラ猫2匹、食卓の料理、育てているたくさんの植物の写真を眺めていると、小池さんのお母様への眼差しのやさしさ、いとしさが痛いほど伝わってきます。
こたつで新聞を読みながら、あるいは畳にごろんとなり疲れ果てて眠っているお母様の様子と、小池さんの文章が相まって、その生活に疲弊している様子がまざまざと感じられやりきない気持ちになります。一方で、穏やかな表情で鉢植えや猫の世話をしたり、小池さんと出かけた川辺の桜の下で微笑むお母様の笑顔からは、その世話好きで優しいお人柄が伝わってきます。
困った親戚や身内の恥ともいえるようなことも赤裸々に綴り撮影したこの写真集は、もしかするとどの家庭にも通じるようなある種の共感を持って見ることができるのではないでしょうか。大変だったけれども決して不幸とは言えない小池さんのお母様の人生の記録を通して、生きることの切実さ、幸せの意味を問いかけてくる写真集です。ぜひご覧いただきたいです。
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