NATO 冷戦からウクライナ戦争まで

著:村上直久

発行:平凡社
発行日:2022/11/15

判型:B6縦変型判(172×105mm)
頁数:224p
製版・印刷:特色2C(特スミ+特グレー)、特色1C(鉛色)、スミ、カバーはマットPP加工
用紙:淡クリーム琥珀N、雷鳥コートN、Nプレミアムステージホワイト
製本:あじろ綴じ並製本

今回ご紹介するのは、村上直久氏著『NATO 冷戦からウクライナ戦争まで』です。

第二次大戦後、ソ連など東側諸国への対抗のため作られた軍事同盟NATO(北大西洋条約機構)。冷戦終結でその役割を終えるかと思われたが、90年代のユーゴ紛争、21世紀の中東紛争で重要な役割を果たし、東欧への拡大は現在のウクライナ戦争の大きな原因となった。さらにウクライナ戦争は、中立国だったフィンランドとスウェーデンのNATO加盟という思わぬ結果をもたらした──。

冷戦終結後、拡大を続けてきた西側軍事同盟の“ほんとう”の姿。プーチンはなぜウクライナに侵攻したのか。NATOの歴史を知れば、ウクライナ戦争がわかる!

ー平凡社HP紹介文より

北大西洋条約機構(NATO)は、1992年から旧ユーゴスラヴィア紛争に関与、ボスニア・ヘルツェゴビナへの禁輸作戦の開始から、2年後の1994年からは10回にわたってボスニアのセルビア人勢力に対して激しい空爆を実施しました。1999年には旧ユーゴのコソボ紛争で再びセルビア人勢力に対して空爆を行い、21世紀になるとアフガニスタン戦争、イラク戦争の後の治安維持や復興支援でNATO軍が活躍。

NATOは域内での軍事力行使からその役割を大きく拡大し、域外での紛争後の治安維持や復興支援、対テロ警戒などの国際的な危機管理任務も担うようになりました。

NATOは1949年の発足以来、域内で平和が維持され、少なくとも20世紀末から21世紀にかけて世界で最も成功した軍事同盟であると言われているそうです。

しかし、今回起きたロシアのウクライナ侵攻は、2008年のグルジア侵攻のやり方と共通点があり、米国や米国が盟主のNATOの「主権の侵犯」に対する反応に鈍さに、ロシアが味をしめたきらいがあると、村上氏は指摘します。ロシアのプーチン大統領は、米国など、西側諸国の弱腰ともとれる態度、それが引き起こす混乱に乗じて、今回にウクライナ侵攻に踏み切ったとみられています。

最大の試練に直面しているNATOについて、本書では、1949年の誕生から冷戦時代、冷戦の終焉、域外民族紛争をめぐる平和維持活動・復興支援、東方拡大を経て、EUとの関係にも目配りしながら、ウクライナ危機に至る経緯やNATOの本質についての概説が試みられています。

現在の危機的状況につながるNATOサイドの歴史的背景について、皆様の理解がいっそう深まることと思います。ぜひご一読ください。