東京精華硯譜 中國硯大全Ⅲ 宋代硯と太史硯
著:楠文夫
発行:平凡社
発行日:2022/12/21
判型:A4縦変型判(297×210mm)
頁数:84p
製版・印刷:プロセス4C、スミベタ+マットニス、カバーはマットPP加工
用紙:サテン金藤N、OKトップコート+、タント N-8
製本:糸かがり上製本
今回は、楠文夫氏著『東京精華硯譜 中國硯大全Ⅲ 宋代硯と太史硯』をご紹介いたします。
中国硯研究の第一人者による長年の研究・収集の集大成(全3巻)。最終巻は宋代硯と太史硯を取り上げる。著者の世界的コレクションから、旧著で未収録の品も含め多数掲載。
文人は書斎(文房)を魂の城として、生活の基盤を書斎に定めて、使用される硯、墨等に強い関心と愛着を示したのです。書斎で愛用された文房四寶(至寶)の中で、中心的な役割を担ったのが古硯です。
古硯とは申し上げるまでもなく、唐墨に使用された道具であり、人の術によって造られた、美術品あるいは芸術作品等の装飾品とは一線を画しています。
この度紹介させていただきます宋代硯(960-1280)は、洗練された高い美意識をもつ人によって製作されたものと考えられます。力強さと繊細優美さを兼ね備える宋代硯には、時代の文化の高さと、天下の静謐を引き寄せる力があると思われます。
ー「はじめに」より抜粋
一千年にも及ぶ宋代硯との出会いにより、強烈な衝撃を受けた楠氏が、60有余年を捧げた全3巻の中國硯大全が遂に完結。本書で紹介されている「宋代硯」は、古硯のなかでも特に、道具としての機能に勝れるばかりではなく、東洋文化の美を極限にまで極めた格の高さがあり、精神遺産としても高く評価された文人の象徴、「無用の用」として存在するものです。
また本書では宋代硯とともに、掌硯と古硯の中でも最も美しい太史硯が各種紹介されています。『中國硯大全』全3巻を通して、中國硯の世界をぜひご堪能ください。
担当プリンティングディレクターより
片山 雅之
用紙はOKトップコート+(コート紙)、サテン金藤(ダル紙)は、あまり濁らない紙ですので、製版では硯のグレイバランスを重視しました。尚且つ、硯の石自体の素材や質感が異なりますので、それぞれ微妙にバランスを変えています。
印刷はボリューム感を出すためにインキを盛り込み、ボリュームを出しました。
編集:田中爲芳
装幀・デザイン:吉田カツヨ
DTP・組版:片桐康則
硯撮影:桜井ただひさ