デザイン
うまれてくるよ 海のなか
写真:高久至 文:かんちくたかこ
発行:アリス館
発行日:2022/6/30
判型:B5縦変型判(257×190mm)
頁数:152p
製版・印刷:プロセス4C、カバーはグロスPP加工
用紙:OKトップコートマットN、OKトップコート+
製本:糸かがり上製本
今回ご紹介するのは、写真・高久至さん、文・かんちくたかこさん著の写真絵本『うまれてくるよ 海のなか』です。
海の生きもの写真絵本の第4弾。口の中で子育てしたり、お腹に卵をくっつけて泳いだり…一生懸命に子どもを守る、けなげでたくましい親たちの姿、美しくかわいらしい、卵や子どもたちの姿を、ユーモラスな文と美しい写真で紹介。がんばれ!と応援したくなります。
写真家の高久さんは、屋久島の海を毎日のように潜って海中散歩を楽しんでおられます。この絵本を作りたいと思ったきっかけは、「海の魚の多くは、お父さんが卵をまもるのはどうしてだろう?と思ったから」だそうです。
そうして魚たちを観察し続けた結果、「きっと魚たちが子孫をたくさん残すために、もっとも効率のよい方法を選んだ結果なのだろう」と思ったそうです。お母さんは卵を産むためにすごいエネルギーが必要なので、お母さんがご飯を食べて、お父さんが卵をまもるという役割分担ができたのだろうと。
この絵本を読むと、海の生きものたちが、お父さんもお母さんも必死で卵や赤ちゃんを守り抜いていることがわかります。なかには一生に一度卵を産み、その卵から無事生まれた赤ちゃんを見送って死んでしまうタコのお母さんのような生きものもいて、その命がけで子どもたちを守っている姿にはウルウルしてしまいます。
「子孫を残すために子どもを守る」という当たり前ですがとても大事なことを、懸命に生きる海の生きものたちが、私たち人間にも教えてくれているようでもあります。「がんばれー」と応援しながら、私たちも元気をもらえる素敵な写真絵本。ぜひ親子でご覧いただきたいです。
担当プリンティングディレクターより
高橋 満弘
全体的に明るく、また卵や尾びれの透明感のある浮かびあがるような白さを再現するため、中間調(50%の網点)のドットゲイン現象(※)をあらかじめ予測し、網点を数%小さくして製版、印刷しています。これにより、魚や海のカラフルなベタ(網点100%)の部分も、より鮮やかに印刷できています。
※ドットゲインとは網点の太り量のこと。網点のつぶれやインキのにじみなどが原因で、版の網点面積より印刷の網点面積が大きくなる現象。
デザイン:タカハシデザイン室
企画・構成・編集:川嶋隆義・寒竹孝子(スタジオ・ポーキュパイン)
製本所:難波製本